「ダイイング・アイ」/東野圭吾

 久々に東野圭吾の本を読んだ。やっぱり東野圭吾は見せるのがうまいなぁと思う。今回の作品はミステリというよりはサスペンスのような感じで、断片的に記憶を失った主人公が真実を知っていく、というストーリー。スピード感もあるし、映像化されたシーンが頭にどんどん浮かんでくるあたりが、ドラマ化されても人気な作家たる所以か?

 ただ、次々と新しい真実が分かる一方で、それが全部ひとつにはつながっているようには思えない。成美はどのような人物だったのか、瑠璃子は何を考えていたのか、といったあたりが伝わっていれば、より恐怖度の高い作品になっていたのかなぁと。

 テーマとしては交通事故の被害者と加害者、罪の意識とかですが、ここもちょっと物足りない感じがした。ストーリーや設定はよく分かったが、東野圭吾にしては詰めが甘いような気のした作品でした。期待しすぎなのかもしれませんが(笑
 もちろん、冒頭に書いたとおり読みやすい作品なので楽しめると思います。