「宵山万華鏡」/森見登美彦

万華鏡とは言い得て妙。
同じものをいろいろな角度から見るということが、
京都が持つ不思議な空気を際立てる。

っていうか、京都は別に不思議な空気を持っているわけじゃないんだけど、
森見先生の手に掛かると不思議な街に見えてしまうからしょうがない。

「造花の蜜」/連城三紀彦

こうも複雑なストーリーになっていくとは思いもよらなかった。
 
はじめは単純な誘拐事件。
しかし、物語が進むにつれて徐々に明かされる裏の真実。
その辺りが非常に巧妙に描かれていて脱帽。

ミステリなので中身はなかなか書けないけれど、面白い作品です!

休みの扱い

こないだの休日出勤を普通の残業に付けていたら、代休にしろといわれた。
休暇がいっぱいあるんだし、代休なんていらないんですけど。
しかし逆らいづらいので承諾した。
なんかムカツクわ?。

「煙突の上にハイヒール」/小川一水

初めて読む作者。ジャケ読みです。

近未来、今より科学技術が発達した世界で起こる、SFのようなライトノベルのような不思議な物語たち。
しかし科学技術が発達して面白い機械やロボットが登場する世界ですが、
決してロボットがすごいんだぞ、と押し付けるようなものではなくて、
むしろ、そんな世の中でも“人”が考えることはあまり変わってなくて、
ただただ恋愛とか他人の姿とか、そういうものが物語の中心です。
そこがとても心地よい。

どれもストーリーを書くとネタばれになりそうなので書きませんが、
すんなりと自分自身に入ってくるようなストーリーのものばかりで、
気張ることなく自然に読めました。

東工大特別入試

東工大の問題についてちょっとだけ。
今年でもう5年目ぐらいになる東工大の特別入試ですが、
今年の面白い問題は1番、難度が高いけど覚えておきたいのが4番、といった感じ。

1番は単位円に内接するn角形nをどんどん増やして書いていったときの(ただし、基点の頂点は一致させる)、すべてのn角形の共通部分の面積。
6以上を考える必要が無いことに気づくと、あとはcos72°などの値が求められればそれほど難しくはない。
ただ、数値比較と論述が難しい。どこまで書けばいいのやら。

4番は過去に東大でも出題された体積の問題。
こちらはやり方をマスターしておきたいという意味での重要問題。

下手な入試よりも勉強になることと、時間が掛かるけど面白みのある問題が出題されるのがこの東工大入試。
数学好きなら一度はチャレンジしてみてもよいのではないでしょうか。

「ダブル・ジョーカー」/柳広司

「ジョーカー・ゲーム」の続編。
引き続き日本のスパイ機関に属する男たちの話。

短編で綴られる各国のスパイとの秘密裏の戦いは、
どれも裏の裏や、裏の裏の裏をかくような手段が用いられ、
読み終わるたびになるほどなあ、と思ったりする。

前回のもそうだったんだけど、短編集の割に、のめりこんで読めてしまう作品です。