「阪急電車」/有川浩

 久々によい本に出会った。

 出会ったのは近くの本屋。新刊として平積みになっていたんだっけ。タイトルは「阪急電車」。懐かしい単語とその電車のイメージカラーをモチーフにした装飾が目を引いた。
 「面白くなくてもいいから、読んでみよう」と思って図書館で予約(買わなくてゴメンナサイ)。ようやく手に入って読みました。

 宝塚線沿線に住んでいた僕は、実は今津線には乗ったことが無かった。駅の数も少なくて、各停しかないこの路線の一つ一つの駅を、ゆっくり進んでいく電車と物語。繊細に描かれるいろいろな人の思い。少しずつ絡み合う人間模様。これらが読み手を明るい気持ちにさせてくれます。

 久々にホクホクした気持ちになれた、(今のところ)今年一番のお勧め作品です。

「MAZE」/恩田陸

 今回もよく分からない……推理小説でもなく、サスペンスでもなく? 恩田ワールドは難しいわ~。

 誰も出てこられない建物。不可思議で、恐怖のみが存在するような設定が先攻するんだけど、それが明かされることはない。主人公の1人はその謎に立ち向かってはいるんだけど、最終的に得られた結果を聞いたらそれはあんまりだと思ってしまった。

 僕が理系人間だからか、こういう謎にははっきりとした答えを用意してもらいたいと思ってしまうんだけど、そういうわけではなく謎は謎のままで、不思議は不思議なほうがいい、みたいなことなのかなぁ?

 一応これはシリーズ物なので、次のクレオパトラも読んでみるつもりですけど~。

「テラビシアにかける橋」

 いい映画だったなぁ。子供たちの世界をよく表していて、ものすごく懐かしい感じを受けました。

 誰もが自分たちだけの世界を持っていて、「こんなことができたらどうだろう?」「こうしたら面白そう」と勇気ある冒険者だったあの頃。逆にひねくれていた高校生ぐらいのときに見ていたら「こんなくだらないことを」と思っちゃうかもしれないけど、普通に大人になっちゃうと、こういう世界を広々と描いた作品を懐かしく思ってしまうのかなぁ。そうなりたいという願望とかが入ってきちゃうのかも?

 ただ、ネタバレですが、ヒロインが死ぬという展開はあまーりうれしくないかな。昔から「誰かが死ぬことで涙を誘うストーリーは嫌い」という考えの持ち主なので。まぁ、涙を誘うのは残された主人公の生き様だったりするかもしれないけど。

 ストーリーは単純かもしれないけど、子供に戻れる楽しい映画でした。

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

 もともとはミュージカルだったものを映画化したもの。ミュージカル映画でした。まあ、字幕で見ている範囲ではミュージカルでもミュージカルじゃなくても同じような印象になってたけど(汗

 ミュージカルでは再現できない血しぶきや、細かな表情や描写といった点を、見事に映像で表現できているのではないかなぁ。
 映像は非常に残酷で、確実に年齢指定が入ってしまうのは初めから分かっていたんだろうけど、それでも表現したかったものがあるとすれば、やはりこの復讐に燃える心の爆発だろう。
 ミュージカルで表現できるものと、映画で表現できるものは違うのだから、それぞれの強みを活かしてこれを表現するのは当然だし、よく表現できていたと思うよ。

「シュガー&スパイス」

 起きたら18時やったんやけど…どんだけ疲れてたんやろ(汗
 本当は買い物に行く予定やったんやけど、さすがにこんな時間からでは出かけても意味が無いので明日に延期です。
 そんなこんなで、今日はテレビを見て、ネットつないで、TeX打ち込んで、ぐらいしかやってない! もうすぐ夜中の4時です。そりゃあ15時間ぐらい寝てたら夜も練られなくなるわ。

 今日は土曜プレミアムの「シュガー&スパイス~風味絶佳~」を見てました。映画で見ようかと思ったけど結局見なかったんだよなぁ。「手紙」のときも思ったけど、沢尻エリカはかわいいと思うよ、演技が上手いかは別にして。
 僕は意外と切ない映画に弱いので、こういう映画を見るとすぐにきゅんとなってしまいます。自分のかわいい一面を再発見やね(汗
 ちなみに、今回からテレビやDVDで見た映画も映画リストに加えていきますよ~?

 女の子はスパイスの効いた甘さが大事、なんていう意味のこの言葉だけど、僕が「sugar&spice」という単語を聞くと思い出すのはネットラジオのこと。
 僕が聞いたはじめてのネットラジオは、素人さん(女性)制作の「シュガスパ」っていうネットラジオ。面白かったかは覚えて無いけど、それなりに聞き続けていたからクオリティはそこそこ高かったんだと思う。高校生のときだから、もう8年前。
 さっきググってみたんだけど、何の痕跡もなかった。懐かしいなぁ。

「Q&A」/恩田陸

 質問形式で進む物語。最後まで読み進めると事件の真相が明らかになるのかと思いきや、そういうわけでもないのね(汗

 ショッピングセンターで何らかの原因でパニック事件が発生。大勢の被害者を出す惨事となるが、実際に内部で事件は起こっていない。被害者は全員“パニックに殺されている”のである。

 実際にこれはありうる話だとは思うし、読後感としてはあまりよくないがこれが世の中かと思わされるところもある。
 一方で、せっかくQ&A方式でストーリーが進むという特殊な記述を使っているのに、それによって生まれる効果が特に感じられなかった。トリックがあるわけでも、うまい仕掛けで事件が解明するわけでもない。多少なりとも期待して読んでいただけに肩透かし。
 ……それとも、僕が気付いていない仕掛けが何かあるのだろうか?

「西の魔女が死んだ」/梨木香歩

 超有名なこの作品。ああ、何で25歳にもなって読んでるんだろう(汗

 でも、意外と25歳でも楽しめる。反面、なんでこれまで読んでなかったんだろうって、ちょっと後悔する。「名作は、読むときの自分によって違う作品になる」というのは、紛れもない事実だと思うんだけど、この作品をもっと若いときにただ読んでいたときにどんな気持ちになるんだろうっていう、どうしようもない問題だ。

 児童文学といわれているけど、そこにはおばあさんの一回りも二回りも大きな人間が描かれていて、“小娘”まいの悩みをうまく解決しちゃいます。ちょうどまいのように悩んでいる女の子が、この小説を読んで新しい自分に生まれ変われるんじゃないかなぁと思います。

 魔法を掛けられたのは、まいじゃなくて、読者なんじゃないかなあ。

「チーム・バチスタの栄光」/海堂尊

 このミス大賞、映画化と何かと注目の「チーム・バチスタの栄光」を読みました。ミーハー。
 ちなみにこれが本当の今年の1冊目。実家の母親が読んだやつを借りてきました。母親もミーハー。あと、例によって例のごとく上下分冊(汗

 これが処女作、という意味ではよく出来ていると思う。やはりキャラクターが立っているというところがよい。田口と白鳥。この二人の名コンビは読んでいて楽しい。実際今年のこのミスにもこの二人を主人公とした短編が掲載されていたりする。
 あと、著者が実際の医者であるということもあって、医学的な部分がよく書かれている、らしい。実際のところ一般ピープルにはそこらへんはあまりよく分からないんだけど。

 ミステリとしては、読んだだけで犯人が推理できるかといえばノーだし、ミステリ要素は少ないと思うが、逆に言うとリアルミステリ、現実味のあるミステリという観点でみるとこれまでにない新しさと驚きをもたらす。そういう意味では大賞に選ばれた理由も分かるような気がする。

 多少医学的な記述が多いかもしれないけど、読みやすい本です。

「フィッシュストーリー」/伊坂幸太郎

 今年最初の1冊。さて、今年も目標50冊。

 表題にもなっている「フィッシュストーリー」は、伊坂お得意の時間をわざと入れ替えた作品。もともと短編で、その中が4つのブロックに分かれているようなものだから、それほど大きな話じゃない。仕掛けも実にシンプルだ。

 ここでふと考えてみた。この話は時代順に並べたら普通の話として成り立つんじゃないだろうか。
 はっきりいってYESである。それ以前に、時間軸通りに正しく並び替えるとかなり面白味に欠ける作品、日の目を見ることはないような作品になる。

 じゃあこの作品はなぜオーケーなのか。伊坂はすでに手の内を明かしている時系列を狂わせるという手段を用いるのか。1つには“伊坂らしさ”という言葉があるだろう。時系列が狂ってこそ伊坂幸太郎だと思う読者も多い。僕もその1人かもしれない。
 実際のところどうかというと、僕はこう思う。つまり、各セクションが短い中にうまく納まっていて、なおかつリンクさせる部分が上手いところがよいのではないか。
 時系列のトリックに気付いたからよい、というミステリの時代は終わっていて、そのトリックを使うからこそできる、小説だからこそ実現できるような見せ方を追求しているんじゃないかなぁ。

 最後はお気に入り作品。どれもよいけど「フィッシュストーリー」はお勧め。あと同じぐらい「ポテチ」もよかった。終末のフールでも書いたけど、最近の伊坂は“ちょっといい話”が多いかもしれないけどね。でもそれが心地いいよ。大体オチは分かっていたんだけど、タイトルの意味に気付けなかった自分は愚か者だ。途中で気付くべき場所があったのに。

ヒット数

 一昨日は74ヒット、昨日は80ヒット、今日は64ヒット。最近ヒット数が増えてきているこの「izu-mix.com」ですが楽しんでいただけていますでしょうか。おそらくヒット数の大半は「イズミの数学」の方がたたき出していることだと思います。
 あれやね、センターやら2次試験が近いからみんな数学用語検索するわけやね。それであまり記事も充実していないのにうちのサイトにきてしまうという。
 申し訳ないからセンター試験の解答速報は気合入れますわ。去年より分かりやすく作りますよ~!