「できるリーダーは、「これ」しかやらない」/伊庭正康

前回読んだ本と同じ著者の本なので、書いてある似たりよったりなのですが、
今回の感想は「全然頭に入ってこない!!」というもの。

思い返してみると、ここ1ヶ月ぐらい、
本当にやりがいのない仕事を、しかも下請け的な仕事を毎日やっているので、
読めば読むほど、リーダーシップを持つというところと真逆にいる現実に苛立つだけだった。

書いてある内容はごくごくまっとうだし、そのとおりだな、と思うことばかりなのですが、
それを実践する形が具体化出来ないというのが、頭に入ってこない原因のようだ。

置かれている状況に応じて、読後感というか読書による吸収力がぜんぜん違うんだなあ。
また今度読み返してみます。

「フーガはユーガ」/伊坂幸太郎

そこそこ不遇でヘビーな環境を生きている双子の兄弟が、
特殊な能力を使ってそれらの困難を乗り越えていく痛快な物語。

かなりエグい設定、苦しい環境が描かれていて、
普通だったら生きていけない程にも関わらず、
それをうまくポジティブに切り替えていく様は、すごいなあ。

最近の伊坂作品には珍しいけど、
どんでん返し的なトリックのあるストーリー展開もあり、楽しめる作品だと思います。

「沈黙のパレード」/東野圭吾

ガリレオシリーズということで、ちょっと重苦しい感じの作品です。

ガリレオシリーズといえば奇想天外なトリックが見もの(?)ですが、
今回はトリック自体はそこまで複雑ではなくて、
どちらかというとその事件の描写が、長くて重苦しい印象を作り上げているように感じました。

まあ、とりあえず事件の顛末が暗く悲しい話なので、珍しくなかなか読み進まない作品でした。
いやそんなことないか。東野作品なので、言っても読めますけど。

「プレイングマネージャーの基本」/伊庭正康

久々のビジネス書。
昔からビジネス書・啓蒙書の類はメモを取りながら1時間ぐらいでサクッと読みですが、
今の時代は写メで一瞬でメモが取れるのではかどります。

そんな写メメモを見て復習。
無駄な業務をなくすECRSとか、ただただ惰性で続いているだけの慣習の見直しとか、
今の会社にいる間は自分ではなんともできないだろうけど、意識はしておきたいなあ。
あとは、ポジティブな人のそばにいると人が成長する、というポジティブの連鎖をすすめるということ、
これも今の会社ではなかなか難しいけど、たしかに積極的な人の近くにいるのはいいことだ。

「明日の子供たち」/有川浩

養護施設をテーマにした物語。

別に養護施設にいる子供は、可哀相なわけじゃない、しかし実際にハンディキャップがないわけでもない。

そのあたりの機微が上手な塩梅で描かれている素敵な作品で、途中から、章が終わるごとに泣いてしまった。

実ははじめは、ただ養護施設の現状を訴える作品なのかな、と思ったんだけど、そんなことはなくて、それだけではなくきちんとエンタメ的な作品としても成り立つような作品になっていて、いやよくまとまっていてすごい。

「県庁おもてなし課」や「空を飛ぶ」でもそうだったんだけど、取材をもとにしながらもエンタメ要素強めの作品に仕上げるのがほんとにうまい。もちろん、得意の恋愛事情を持ち込むのも忘れないし。

いい小説でした。

「ラプラスの魔女」/東野圭吾

東野圭吾ってさ、理系っぽいテーマをうまいことミステリーに混ぜ込む天才だわ。

「ラプラスの悪魔」という言葉がありまして。物体の運動は初期条件だけ決めればあとの動きは完全に予測できるというようなものです。高校物理で学ぶような運動方程式は、確かに初期条件から、x秒後の物体の位置を求めさせたりしますもんね。

今回は、そのような計算ができてしまう、スーパーコンピュータ的な脳を手に入れた人間が登場する話。

まあそんな人間はいないだろうけど、もしいたらどういうことができるか、なんていうのを想像すると面白いよね。東野圭吾、さすがです。

全然本の感想になってない。まあ感想なんてないよ、ただのエンタメ小説だから。

「満願」/米沢穂信

ミステリーのような、ミステリーでないような、そんな短編が収められた作品集。

高い評価を得ているけど、読んだ感想はそこまで…という気も。期待値が上がってしまっていたのかも。

むしろ、私がこれを読んで思ったことは、米沢穂信ってこんな作品も書くんだな、ということ。
出身は、古典部シリーズのような若者向けの作品を書いていた作家さんという印象だったし、前に読んだインシテミルもライトミステリーな感じだったので、いわゆる普通の作品を書いたのには驚きだった。

今後もこの傾向が続くのかなあ。

「鋼と羊の森」

今のところ、個人的2018ベストノベル。

調律師となった、青年生活を描いた物語。
ものすごく盛り上がるシーンが出てくることはないんだけれど、
とてもきれいな文章が印象的で、落ち着いた世界観がひしひしと伝わってくる。
また、シンプルに主人公の感情がとてもよく伝わってくる。

音楽好きだから、という加点があるかもしれなけれど、
うまく説明できないから、とりあえず読んでほしい。
短い小説なので、それほど時間もかからないので。

「祈りの幕が下りる時」/東野圭吾

相変わらず暗めの話。
はじめにいくつかの場所や時間を超えた事象が描かれ、徐々にそれらのつながりが分かってくる、
という最近の東野圭吾によくある展開で始まります。

あらかじめ犯人はほぼ分かっているのだが、その動機が悲しくて。

まあ、東野圭吾らしいわかりやすいミステリ小説でした。

「路」/吉田修一

台湾新幹線の建設とともに動く人々の人生と生活。
日本と台湾という二つの舞台に、さまざまなキャラクターで色を付けているような物語。
ストーリーの展開は分かりやすいのだが、物語に深さはあまりなく、表面的にいろいろな人の人

生をなぞった、という印象。
台湾での仕事の大変さはあまり伝わらないし、突然日本に来たり台湾に行ったり、
主人公の1人の女性の日本に残した彼は雑な描写だし、正直、世界観には入りこめなかった。