「モダンタイムス」/伊坂幸太郎

 考えさせられることばかり書いてあった。分からないことを何でもググって検索したり、分断された仕事では善悪が判断できなくなったり、いま間違いなく世の中はこの「モダンタイムズ」で描かれているような世界に向かっていっているのじゃないかと思ってしまう。

 かつての伊坂が時系列トリックを得意とする作風だったのに対し、最近の作品は、現在の世の中、たとえば政治や世論といった移ろいやすいものがいかに危険かを表現している。本屋大賞に選ばれた「ゴールデンスランバー」もその中の1つだ。

 かなり怖い作品であるのと同時に、考えてしまう作品でもあった。