「グラスホッパー」/伊坂幸太郎

 伊坂の新刊をようやく読みきったのでメモ。いつも文庫化してから読んでるから一足遅いんだけどね(汗

 というわけで「グラスホッパー」。今回は、いつもの伊坂のようなテクニック三昧というよりは、3人の視点を同時に楽しみながら(?)読み進めていく、といった趣向。内容は前回のチルドレンの逆、暗いです。
 解説にもあったけど、3人とも殺し屋では読者が感情移入できない、ということでやっぱり1人は普通の感覚人間が必要だ。鈴木の視点になるとちょっとだけホッとしたのも事実。いろいろ見ているとあまり共感できないという人が多いのも確か。

 死んでいることと生きていることの違いはどこにあるのか、という疑問を問いかけてくるような気がした。しかし最後に鈴木は気づく。生きているみたいに生きていたい、それは一つ一つが戦いであり、それを具現化したものが食べること、妻の食べ方が効果的に映える。

 最後の最後に出てくる電車のシーン。これは夢か幻か。