「アキハバラ@DEEP」/石田衣良

 最近何かと話題の「アキハバラ@DEEP」の小説版を読みました。文庫で500ページ越、前にも書いたけど、1冊が分厚いと、良く分からないけど何か損してる気がします。

 予想と違った。秋葉原らしくない。秋葉系はサイバー世界?で戦ってほしかった。物理的攻撃なんかしてほしくなかった。あの状況ではそれしかないんだろうけど、どうせファンタジーならサイバー世界でファンタジーな出来事をおこしてくれてもよかったのに。
 正直言って、僕は石田衣良はあまり好きじゃない。だからって本を読まずに「嫌いだ」と言うのもどうかと思うし、やっぱりIWGPとかは人気だからちゃんと読んでおこうと思う。
 だけど、これに関してはストーリーは面白いしキャラクターにも共感がもてる。裏アキハバラの描写もなんとなく雰囲気は伝わる。だけど、薄っぺらい感じがする。本当に裏アキハバラを研究し尽くしているわけでも、コンピューターに関して詳しいわけでもないのではないか、と穿った見方をしてしまう。
 「あれが石田衣良流なんだ!」と言ってしまえばそうなのかもしれないいけど、荒っぽい文章が目立つのが原因なのだろうか。良く言えば感覚的のように思う。「原子の中の素粒子の中のクォークのひとかけら」(みたいな記述があったと思うけど)とか意味わからんし。

 最終的にファンタジー色が出てしまう本作品を現実的なものの枠内で話していてもしょうがないだろう。ファンタジー作品で、秋葉原という題材を特別視せずに読めば、楽しめる作品だとは思う。けど後半のっぺりし過ぎとも思う。