「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」/伊藤たかみ

 祝、芥川賞受賞と銘打って店頭に積まれていた「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」を読んだ。伊藤たかみのデビュー作。
 wikipediaに書いてあったんだけど、伊藤たかみさんは三重県にも縁があったりして、平井堅と同級生なんだって。

 誰もが世界は自分が中心に動いていると思っていて。そのうちみんなも動いていることに気付いたりして。みんな、グルグルダンスを踊るのが一番幸せになる方法なんだから。
 正直、僕にはこんな時代はなかったけど、世の中の高校生はこんな世界なんだろうかなぁ。それにしては子供っぽい気がする。
 反面、手にしているものを普通にしたら、普通の高校生っぽくなるのかなあ。結局はケンカとか恋愛とか、自分の周りで起きることを自分中心で見ているだけだったりして。

 解説はとっても的確だった気がする。そう、彼らは子供で、仔犬みたいなものなんだ。キャンキャンとじゃれ合うようなケンカをして。瀬戸内寂聴の言葉を借りれば、アメリカの片田舎の青春ドラマを見ているような感じだ。

 というわけで何か得るものがあるのか、という気もするけど、久々に若ーいパワーをもらうことができた小説でした。中高生にお勧めかな。