「砂の器」/松本清張

 昨日から本格的に読み始めた「砂の器」を読み終えたのでメモ。「読みたいんだよねー」と友人の前で話していたら貸してくれたものを2日で一気に読んでしまいました。

 実は映画化やドラマ化されて有名なこの作品なんですが、僕は今まで名前だけしかしらなくて、小説は勿論、映像も見たことが無かった。(まぁ、犯人が音楽家ということはさ、中居君が主役やってたから分かっちゃってたわけだけどさ(汗)
 初めは「古い作品だし読むのは大変かなぁ」なんて思ってたけど、特に後半、主人公である今西が次々と点と点を結んでいくあたりは、そのテンポが小気味よくてどんどん読んでしまった(下巻は2時間半ぐらいで読み切ってしまった)。
 どうして読みやすいのかと考えてみると、やはり今西の描写が非常によい点が上げられるだろう。まず今西の心情はとけ込みやすく、読者が苦にならない。また、描写がなかなか緻密だと感じた。捜査のためたびたび旅行に出掛ける今西だが、その旅先での描写も丁寧で、土地を感じさせる。あと、(当時からみた)新進芸術家の表と裏のやり取りなんかも、読んでいて興味深い。

 ただ、トリックともいえる“新しい完全犯罪”にはちょっと参った。それはどうかと思ったわけだ。そうそう都合良くいくものだろうか。まぁ押し売りを撃退する程度なら、うまくいくのかもしれないけど、焦点を合わせたり、じゃあ自分には害がないのか、そういうところを科学的に考えると無理があるように思った。
 あと、どうしても言及しなくちゃいけないのは、偶然に由来する推理が多いこと。こればっかりは多分誰もが思ってるんだと思いますけど。

 映画を見た友人は泣いたといっていた。確かにラストの方は同情を誘う。小説を読んでいて泣くほどでは無かったが、映画では多分泣けるようにできているのだろう。機会があったら借りてこようと思う。