「ラッシュライフ」/伊坂幸太郎

 ここのところずっと読んでいる伊坂幸太郎の文庫3冊目。今回は「ラッシュライフ」です。

 とりあえず登場人物が多いこの作品。初めのうちは次々変わる登場人物に圧倒されて読みにくかったんだけど、読み進めていけばやっぱり裏切らない伊坂作品! 450ページ程度あるこの小説で、300ページぐらい読んでようやく面白さに気付くこのトリック。
 文庫の見開きすぐに出てくるエッシャーの絵が、はじめは何のことか分からない。作中にもなぜか印象的に出てくる、なのにやっぱり分からない。
 だけど読み進めていくうちに、不思議なことに気付く。これはまさにエッシャーの絵じゃないか! 気付いてしまうと作者の緻密な作戦が見えてくる。まんまと作者のトリックにはまっていた。
 伊坂ワールドと言うよりはトリックが楽しい作品でした。

 伊坂幸太郎の文庫化された作品は、新潮文庫では3冊で終了。あと1冊、祥伝社から文庫化されている「陽気なギャングが地球を回す」を読みたいなぁ。