レビューをして思うこと2

 もう少し思うことがあるので続き。

 新しい作者の文章を読むのは、とても力が要ることがある。たとえば僕の場合はモリミーこと森見登美彦先生の文章。
 はじめ、マジメな文章だと思って「太陽の塔」を読んだ。京都の陰湿大学生の生活を描いた文芸作品だと思って読んでたんだけど、さっぱり理解ができなかった。どこが面白いんだ、と。
 けど、続けて森見登美彦先生の文章を読んでいったら、驚くほどにはまっていきました。ああなんだ、この人の妄想をひたすら書いている作品なんだ、と分かるとあとは簡単。森見先生の妄想の中にただ身を委ねればそれで楽しめるのである。

 また、読後の感想っていうのは、かなり読み手のバイオリズムに左右されているように思う。自分がほしいと思っているジャンルを、ほしいときに読めればぴたっとはまるし、心が狭いときに読むと、ちょっとでも気に食わないと面白いとは思えなくなってしまう。

 だから、アマゾンのレビューも、僕のレビューも、だれも気にせず、自分が読みたいと思う本を読んだらいいんだよ、多分。

レビューをして思うこと1

 この日記では、読んだ本の感想を書いています。レビューというほどでもないし、一番正しい表現は「読んだ本の記録」というだけですが。

 そういえば、なんではじめたかというと、僕がどれぐらいの本を読んでいるのか記録しておきたかったというのと同時に、こういう記録をするほうが、ちょっと強制的に本を読めるという両方の理由があります。こうしないとサボっちゃうからね(汗

 ちなみに、どうやって本を見つけているかというと、まずはお気に入りの作家の本は絶対読みます。いまのベスト3は、伊坂、有川、誉田哲也です。
 そして、新しい作家の見つけ方はひたすら「ジャケ読み」とか「タイトル読み」。ジャケットとか、タイトルに心が惹かれたら、とりあえず読んでみる! はずれても気にしない!

 ジャケ読み、タイトル読み、流行らせていきますよー!

 で、読書レビューとかを書いてますが、基本的には悪口は書くつもりは無くて、よかったところを書くようにしています。誰にでもオープンにしている記事なのだから、これを見た人が読みたくなるようにしたいなあと思うんです。
 だから、たまに「あまり面白くない」みたいなことが書いてあるのは、相当面白くなかったときです(汗

「屋上ミサイル」/山下貴光

 読んでいる最中から「伊坂に似てる」という感想をもったのですが、アマゾンレビューとかを見てみるとみんながそのことを書いていた。みんな思うことは同じだネ。
 だけどね、それほど否定的ってわけでもなくて、真似しながらも独自路線をこれから切り開いていってくれるならそれでいいんだ。応援します。
 ただし、最近の井坂のように政治や社会問題をテーマにしているわけではなく、どちらかといえば昔の、若気の至りをシニカルに描く作品です。

 ということでタイトル読みした1つです。「屋上部」に所属することになってしまった高校生が巻き込まれていく事件。それぞれはバラバラに、突拍子も無く起こる事件が、少しずつ結ばれていって最後は1つとなる。ご都合主義で終わるところも伊坂も得意とするところで、それはそれで痛快に感じて僕的には○。
 伊坂のパクリじゃん!みたいなひねくれた心で読まなければ、楽しめると思います。

「本当に頭がよくなる1分間勉強法」/石井貴士

 タイトルに引かれて読んでみたけど、「ふうん」という感想しかもたなかった。誰にでも通用する内容が書いてある部分はちょっとしかなかったし、あまりためになったとは思えなかったなあ。
 このやり方が、合う人も合わない人もいるだろうし、「ふぅん」という感想がちょうどいいんじゃなかろうか。

「28歳からのリアル」/人生戦略会議

 読みやすい啓蒙書、ビジネス書の類、とか分類するとちょっと怒られそうな気もする一冊。28歳ぐらい、転職とか結婚とか、親の老後とかを考え始めるタイミングで、何を基準に判断したらよいのか、お金だってたくさんかかるんだよ、みたいなことをいろいろ諭してくれる本。
 この本は、「こうしたらよい」というような指導はまったく書かれておらず、ただただ「リアル」な数字などを提示しているだけである。だからこそ、考えなくては、という気持ちを刺激してくる。逆に「こうしろ」などとかかれていても、素直にそれを受け入れるような気持ちにはならないだろうから、この書き方は
 読みやすく、少しはためになる本。

「ガリレオの苦悩」/東野圭吾

 ドラマ化されている話も含まれている、ガリレオシリーズの短編集。2時間ドラマとかになってる話が短編原作だとは思いもよりませんでした。

 ドラマ化されたこともあってイメージがわくのも理由かもしれませんが、いつもよりも読み応えのある短編だったように思います。面白かった。

 いつのまにかガリレオシリーズが有名に、ポピュラーになってしまったのであれですが、やっぱり作者の趣味が前面に押し出されている感じは否めないかなあ。そこが好きなんだけどね。

「聖女の救済」/東野圭吾

 ガリレオシリーズ長編版。今回は直球のミステリで、犯人はかなり分かっているが、そのトリックはかなり奇々怪々としたものになっている。
 内海が登場するようになって、女の直感、みたいなものも登場して、これまでの堅いガリレオシリーズよりは読みやすくなっているような気もします。実際初期2編は、どこが面白いんだ、というような作者の趣味に走ったような小説だったし。

 スプリングエイトだとか、本編内には科学的な知識も入っていて、読む人が読むとトリック以外にも楽しめる作品です。

「ボックス!」/百田尚樹

 今年、ここまで読んだ本でベスト。熱くさせる本です。正直、泣いた。

 コツコツと積み上げる努力は得意、勉強のできる木樽と天才的素質を持つ鏑矢。この2人を主人公に、高校ボクシングを舞台に展開する。
 他にもボクシング部の顧問をすることになってしまった耀子も欠かせないキャラクター。
 いろいろなキャラクターがいて、どのキャラクターもとっても魅力的というのがよい。それぞれ別のキャラクターだが、見ている先というか3人のベクトルが一致していて、それにぴったりと乗っかることができる。

 ボクシングなんて、と思いながらも読み始めたらあっという間。一方で重量感ある展開は目を離せません。こんなにも熱くさせられる小説があるとは思わなかった!
 一押しの青春小説。是非読んで下さい!

「リーダーになる人のたった1つの習慣」/福島正伸

 物語風に紹介される啓蒙書。なかなか読みやすくてよかったです。

 例に出てくるのは赤字のカラオケ店の店長を任されて、如何にして黒字経営に持ち直すか、という設定。それぞれ異なる性格の3人の主人公が、それぞれの方法で挑む。
 あまり期待しすぎるとアレですが、「当たり前のことを再確認する」という意義の本だと思えばよいのじゃないですかね。

 この本を読んでいて、昔のバイト先を思い出した。上司との信頼関係は非常に大事で、それがないところでよいサービスは生まれない。逆に言うと、信頼関係さえあれば、よいサービスが自然に生まれる環境ができてくる。このあたりを、再認識させられた話でした。