赤チャ

結構前からなんですが、赤チャートだけいち早く改訂版が出ているので、今日はその中身の話を。

新指導要領(数学Cがなくなった)になって一度改定したチャートですが、赤チャートだけさらなる改訂版が出ています。
(ちなみに青チャートはIAのみが改訂されていて、IIB以降はまだされていない様子。)

赤チャの中身を覗いてみると、内容は従来のものとほぼ変わっていない感じですが、
一番最後に演習問題として、そこそこの分量の問題が追加されていた。
しかも、僕のような自称高校数学マニアなら大体見たことのある、最近の有名入試問題ばかり。
ちょっとニヤニヤしてしまう。やっぱり目をつける入試問題は同じだな、と。笑

ちなみに、このパートだけでも他のハイレベル問題集の0.5冊分くらいの分量なのですが、
あえて赤チャートの後ろに追加しなくても…という気持ちになります。

そもそも赤チャート自体、どこを目指した参考書なのか微妙なので、
まあ、僕のような物好きのための改訂ってことかな汗

センター試験

そういえば、昨日はセンター試験。
今年も数学のサイトの更新を、と思って頑張っては見たけれど、
やっぱり引越の真っ只中では更新作業もままならず、結局中途半端な形で終わってしまった。
今年はのんびり更新していくことにします。

算数脳

スマホゲームの「ツムツム」を結構やっていて、その中に「コイン増量」というものがある。
通常のゲームに加えて、この「コイン増量」モードを選択した場合は、
手持ちの500コインを消費する代わりに、ゲーム終了時にもらえるコインが増えるというもの。
しかし、ゲーム画面では「コインが?%増加」としか表示されていなくて、一体どれぐらい増えるの?と思う人がほとんどのはず。

そろそろコインにも余裕が出てきたので、実験をしてみることにした。
すると、10%増し、30%増し、50%増しあたりが良く出る。
10%よりは30%のほうが確率が高いようで、20回やった時点では、10%増しが2回、30%増しと50%増しが9回ずつ、とまあ30%増し以上が出ることの方が多いようだ。

試行回数が少ないので何とも言えないが、
30%増しで元を取るためには、コンスタントに1700コインぐらいを取れないと、このコイン増量をやる意味はない。
逆に1700コインぐらい稼げるのであれば、これを利用した方がよいという計算になる。
僕はこのラインぎりぎりぐらいだけど、それなら面白いからコイン増量を選択してしまうよね。

今日書きたいのはこの先の話で、
こうやって、ゲームにおいてこうやって統計を取ったり、データを調べたりしたことがある人は、どれぐらいいるのだろう。
実は今回この作業をしていてあることを思い出した。
というのは、はるか昔小学生の時に、
SFCのサッカーゲームで「キャラクターのシュート決定率」を調べようと、ゲームしながらデータを取っていたことを思い出したのだ。

当時はまだ小学生中学年ぐらいで、統計とか確率とか分数という概念もあまり知らなかったはずなんだけど、
10回中3回シュートが決まる選手と、10回中4回シュートが決まる選手なら、4回決まったほうが確率が高い、という
なんとなくの感覚で計算していたのだろう。

当然、当時の調査はあまくて、ゴールとの距離とか位置といった、
ゴール決定確率に関係しそうなパラメータを見逃していたので、調査としてはだめなんだけれど、
こういう「ゲームをしていても調査する」という考え方は、後になって思うとこれが算数のルーツか、と思わされることになる。

一つの現象を、科学的に調査するという気持ちを忘れないと、ツムツムのような単調なゲームも面白くなるものです。

得意な顔で

はるか昔の話ですが、理系の僕が文系の多い事務方の職場に異動したあとのこと。

年ごとの売上の予測表と、毎年どれぐらい伸びているかをまとめる仕事があったので、
完成したものを上司に見せたら、上司が得意げな顔で、
「ちゃんとCAGRで計算してるよね~?」と言ってきた。

「CAGRってなんですか?」って普通に聞いたんだけど、
その人は特に説明をしてくれるわけでもなく満足そうな顔で僕のところを見てきたので、
訝しげに思って調べてみたら、
「CAGRとは年平均成長率と言われていて、数年にわたる成長率を平均するときに、算術平均ではなく幾何平均で計算したもの」
のことを指すそうです。

はあ、まさかこんなこと指摘してたのか。そんなの当たり前やし。
むしろ、僕からすると、「まさかそんなものにまで名前が付いているとは思わなかった!」という感覚。
なんでこんなことを得意げな顔で指摘されなきゃならんのだ、と逆に怒りすら覚える瞬間だった。

これが感覚的に理解していない時点で、数学というより算数のようなものが理解できていない証拠やな。
1月の売上が10万円で、2月に120%になってその翌月に80%になったら、3月の売上が10万円になるわけないやろうが!!(9万6千円ですね。)
120と80の算術平均は100だけれど、本当の平均成長率は100%より低いわけ。
こんなことが感覚的に分からないのか。しかもこの規模の会社の社員が??

サイトを見ると、結構いろんなサイトで、
CAGRの計算の仕方として、複雑な式を書いてあったりするのだが、
もう一回高校生にもどって数学勉強し直してこいや!!

やれやれ。

数学

国公立大学の2次試験の数学の問題を解こうと、紙と鉛筆を手にネット散策。
でも、夜のうちに問題が公開されていたのは東大の問題だけでした。
どの問題も手の付けにくそうな問題で、受験生はよくこんな問題をスラスラ解くものだな。

一応手を付けてみて、空間図形の体積を求める問題を解いてみる。
途中で、cosθに置き換えるとうまく解けそうなことを思いついて、
ごりごり計算したら一応答えが出たけどあってるかは分からない。

そのほかにも、複素数平面の問題を、ずっと角度だけで解こうとしていたけど、
先に公開された文系の解答を見たときに、
そうか、辺の長さの関係性で解けばなんとかなるのか、と気付く。
なんでこのことに気付かなかったかなあ。悔しい。

そんなこんなで夜も遅くなったので寝ることに。
明日の朝にはいろんな問題が公開されていることだろう。
週末は忙しくなりそうだ!

解答速報

今日は年に一度、センター試験の解答速報の日です。

いつもは夜に予備校のサイトで問題が公開されてから始めるんだけれど、
ここ数年、Twitterに誰かが問題をアップしてくれたりするので、
その問題を見ながら解答速報を少しずつ作り始める。

IAの3割ぐらいの問題を夕方までに入手できたので、その部分は先に作成することができた。
でも、残りの7割とIIBは結局予備校で問題が公開された9時ごろからの作成となってしまった。

結局中国時間で2時ぐらいまで作業して、数学IAの大問一つ以外の解答は作成完了。
今年もお疲れさまでした。

やっぱりグラフや図をすぐに作成して挿入できないのが痛い。
見た目って大事だもんね。
来年に向けた課題だ。

準備

今日からセンター試験が始まりましたね。
明日は数学の試験もあり、毎年やっている解答速報を今年もやる予定です。

今日はそれのためのサイトの下準備。
ロゴを作成したり、TOPページに特設のコーナーを準備したり、
あとは各問題のためのページやリンクを先に準備しておいて、
公開のときにHTMLの打ち直しを最小限にできるようにしています。

そんなことをやっていたらあっという間に一日が過ぎてしまった。
なにやってんだか。

1か89に収束?(その2)~ドラマ「デート」より

前回に引き続き、
ドラマ「デート」で出てきた数字遊びについて、証明しておきましょう。

<STEP2>
1から89の89個の数が、すべて1か89になることを示そう。

13と31が操作後に同じ数字になるように、1の位と10の位が入れ替わった形の数は省略してよいので、考えなければならない数字は、

1,2,3,4,5,6,7,8,9,
11,12,13,14,15,16,17,18,19,
22,23,24,25,26,27,28,29,
33,34,35,36,37,38,39,
44,45,46,47,48,49,
55,56,57,58,59,
66,67,68,69,
77,78,79,
88

の51個である。

ここから先は、すべて書き出すだけである。

まず、冒頭で見た89サイクル
  89 → 145 → 42 → 20 → 4 → 16 → 37 → 58 → 89
の中の数字は先に消そう。実質考える数は44個である。

1,3,5,6,7,8,9,
11,12,13,14,15,17,18,19,
22,23,25,26,27,28,29,
33,34,35,36,38,39,
44,45,46,47,48,49,
55,56,57,59,
66,67,68,69,
77,78,79,
88

次に、
・一度出た数は順に消していく
・2桁の整数になった時には、10の位の方が小さい数字になるように置き換えて、考える。
 (たとえば、計算結果で62となったら、これは26と同じと考える)
として、1桁の数を見てみよう。

1 → 1(1で終了)
3 → 9 → 81=18 → 65=56 → 61=16(89サイクル)
5 → 25 → 29 → 85=58(89サイクル)
6 → 36 → 45 → 41=14 → 17 → 50=5(5の流れに収束、89サイクルへ)
7 → 49 → 97=79 → 130=13 → 10 → 1(1で終了)
8 → 64=46 → 52=25(5の流れの中で登場、89サイクルへ)
9(3の流れに収束、89サイクルへ)

となり、すべて1か89に収束することが示された。

ここで登場した数を消すと、

11,12,15,19,
22,23,24,26,27,28
33,34,35,38,39,
44,47,48,
55,57,59,
66,67,68,69,
77,78,
88,

の28個である。
ここにある数字について、操作後、この一覧にない数字(すでに証明を完了している数)になったら89サイクルか、1に収束すると考えてよい。
(逆に言うと、証明失敗となるのは(反例は)、ある数字がここにある数字の中で89サイクル以外のサイクルを作る場合である。)

11 → 2
12 → 5
15 → 26→40=4
19 → 82=28→68→100 =1

さらに消して、

22,23,24,27,
33,34,35,38,39,
44,47,48,
55,57,59,
66,67,68,69,
77,78,
88,

22 → 8
23 → 13
24 → 20=2
27 → 53

はいずれもここにない数字(すでに証明を完了している数)なので、証明終了。

33 → 18
34 → 25
35 → 34(上の流れにそって収束)
38 → 73
39 → 90=9

もいずれもここにない数字(すでに証明を完了している数)なので、証明終了。

最後にまとめて残りを証明すると、

44 → 32
47 → 65
48 → 80=8

55 → 50=5
57 → 74
59 → 106=16

66 → 64
67 → 85
68 → 100=1
69 → 117 → 51

77 → 98=89
78 → 113 → 11
88 → 128 → 69(上で証明済み)

はいずれもこのリストにない数字(すでに証明を完了している数)なので、証明終了。

以上により、89以下のすべての数字は、89サイクルに属していることが分かった。

さて、当初与えられた「各桁の二乗和を取る」という操作を繰り返すことにより、
<STEP1>すべての89以上の数字は89以下に収束する
<STEP2>89以下のすべての数字は89サイクルか、1に収束する
ことが証明されたので、冒頭の「各桁の二乗和を取り続けると、最終的に89か1になる」が証明された。

お疲れさまでした。

1か89に収束?(その1)~ドラマ「デート」より

3月までやっていた「デート」の第9話で、
「『どのような数字も各桁の2乗の和を足す』と、必ず1か89になる」という話がありました。

以下ではこれを証明しようと思います。
証明と言っても、この記事ではなんとなく理解できればいいことを優先して、
数学的な精密さを犠牲にします。

また、便宜上『 』内の作業を「操作」と呼ぶことにします。

<前提>
まず、89というのは、この先も
  82 + 92 = 145
のように計算を続けることができますが、このあとこれを繰り返すと、
  89 → 145 → 42 → 20 → 4 → 16 → 37 → 58 → 89
のように、再び89が出てくるサイクルに入ります。なので、89を最終形の一つといっているのでしょう。ここに出てくる他の7種類の数字も89系列の最終形です。
 もう一つは、1です。これは明らかに次の数字を得ることができませんので、名実ともに最終形です。

<方針>
ここでの証明方法の方針を先に示します。

すべての数字を、89以下の数(グループA)と、90以上の数(グループB)に分けます。
このとき、
①90以上の数字(グループB)はすべて89以下の数字(グループA)になることを示し、
②そのあと、グループAの数字すべてが、89か1になることを示す
という手順で示します。

<STEP1>
では、グループBの数がすべてグループAに変わることを順に証明しましょう。

<STEP1-1>
まずは、「4桁以上の数字に対してこの操作を何度か行えば、必ず3桁以下の数字になる」ことを示しましょう。

n桁の数のうち、操作後に最も大きくなる数字は、9…9と9が並ぶ数字のときです。
9がn個並ぶn桁の数に対して操作を行うと、その結果は81nとなるので、
そのほかのどのようなn桁の数に操作をしても、81n以下になることが分かります。

これにより、4桁の数字に対しては3桁以下に、5桁以上の数に対しても確実に桁数が下がるので、この操作を行うことで、最終的には3桁以下になることが分かる。

これにより、1000以上の数について考える必要はなくなります。

<STEP1-2>
次に「243以上の3桁の数は、この操作により必ず243以下になる」ことを示しましょう。

これは<STEP1-1>と同様に考えれば簡単で、
3桁の整数で、操作後の数が最も大きくなるのは999だが、
999であっても操作後の数字はたかだか243であるため、
いかなる3桁の数字であっても、操作後の数字は243以下である。

これにより、244以上の数字も考える必要はないことが分かる。

<STEP1-3>
次に、「200~243の数字にこの操作をすると、2桁の数字になる」ことを確認します。
200~243の間にある、操作後に最も大きくなる数は239であるが、この数に操作をしても、
239→4+9+81=94
と、たかだか94である。よって、200~243のどの数字にこの操作をしても、2桁の数にしかなりえないことが分かる。
(2桁の数はあとで考えるので、これらの数字については調査を終えます。)

<STEP1-4>
残りは90から199の間の数字ですが、先に3桁の数を片付けましょう。
100から199の数のうち、ほとんどは操作後2桁になるので、
「100から199の数のうち、1回の操作後も3桁になる数が、何度か操作すれば2桁になる」ことを示しましょう。

ここは、一つ一つ確認します。すると、

199, 198, 197, 196, 195, 194,
188, 187, 186

の9つの数が、操作後も3桁となることが分かります。
(これ以外の数字は、操作をすると2桁になりますので、これらは後で確認する。)

さて、これらの数字については、最後まで計算する必要はありません。
確かにこれらの数字は操作後に3桁になりますが、
ここに示した9個以外の3桁以外の数字になるのであれば、
その次の操作で2桁になるので、考える必要はありません。

そして、すべての数字がここに示した9個以外の3桁の整数になることは、以下のように示すことができます。

この中で最も大きい数字になるのは、
199→163であるが、これは、上に示したどの数字よりも小さい。
よって、すべてを計算するまでもなく、上の3桁の数字はいずれも163以下の数字に変わる。
163以下の数字は、次に行われる操作で2桁になる。

<STEP1-5>
ここまで、「2桁の数になるから、あとで考える」といったところがありました。
そのうち、2桁の数になった時に89以下になっているとすれば、それはグループBになるということですので、
もう<STEP1>での証明は終了です。

最後に90から99の間の数について、
これらが何回かの操作で89以下になる、すなわちグループBになるということが証明できれば、
<STEP1>の証明は終了です。

これは、一つずつ示します。手を動かします。

90→81
91→82
92→85
93→90(→上の90を参照)
94→97(→下の97を参照)
95→106→37
96→117→51
97→130→10
98→145→42
99→162→41

以上より、<STEP1>の目標で当った
「90以上の数はすべて一度は89以下になる」ことを示すことができました。

とても長くなったので、2回に分けます。
つづきはこちら。