「ヒア・カムズ・ザ・サン」/有川浩

冒頭に紹介してあるのだが、
とても簡単なプロットだけをもとに描かれた2つの作品。
1つは完全なオリジナル、そしてもう1つは演劇化された作品をリライトした作品。
どちらも同じような登場人物なのだが、内容はまったくもって違う、そんな作品だった。

当然のことながら、完全オリジナルの前者のほうが、作品としてよかった。
というのは、主人公の持つ「思い」を感じ取る能力を生かした作品になっている
ように感じられたからだ。
それに比べると、後者(作中ではパラレルと呼ばれる)ほうは、
演劇があったこともあってか、展開は少し地味だし、
何よりこの特殊能力の活かし方が弱かったように感じた。

読みごたえはそれほどないけれど、
こういう“コンセプトありきの作品”というのも悪くない。