「春になったら苺を摘みに」/梨木香歩

 これは小説ではないんですけど。エッセイ。初めて読んだ梨木香歩さんの文章です。

 文庫化されたときに本屋で表紙をみて、ああ綺麗な表紙の本だなぁと思って手に取った記憶はあったんだけど、結局買わなかった本。今回彼女に頼まれて中国に持っていってあげたんだけど、その行きの飛行機の中でちょっと読みかけたあと、図書館で最後まで読んだ。

 とても印象的な文章。こういうときに理系の僕は表現に困る。伝えられないから。梨木さんが感じた空気をそのまま伝えてくれる文章の力を感じて、一気に引き込まれた。
 タイミングもよかったのかもしれない。海外の文化をありありと見せ付けられるわけで。

 「理解はできないが、受け容れる。ということを、観念上だけのことにしない、ということ。」

 観念上、というのはどの程度を指すか分からないけど、たぶん僕はこのことを「頭では理解している」けど「実際にはできていない」んじゃないかなぁと思った。しかし、その部分をぐいぐいと僕の中に植えつけてくれる。ものすごい勉強になった一冊だった。