友人に薦められて読み出した本書。最後の最後で、「え?」ってなってしまうこと請け合い。読み返したくなる小説、っていう触れ込みはそれほど嘘じゃない。
ところどころで違和感を感じつつ、最後を読んだときにやはりクエスチョンマーク。ただし、最後のほうの情報はかなりのヒントになっていて、それらの条件を組み立てなおすと自ずと答えが出てくる。単純な答えを出すだけなら、ぱらぱらと本をめくり返しながら事象を整理するといった、まさに数学的な頭の運動です。
とはいえ、その全貌をきちんと把握するにはきちんと読み返して表でも書かないといけないなぁ、と思って検索してみたら、答えが書いてあるウェブサイトがあった。かなり細かいところまで解説してあって非常によかった。半分ぐらいは分かっていたことだけど、「そんなところにも仕掛けがあったのか!」と思うところも多々。
さくっと読めて、深読みしなければ青春恋愛となるこの作品。そして最後を読むとからくり小説にもなるというおいしい作品。たぶん「読み返したくなる」っていうのは小説の面白さじゃなくて、その全貌を把握するために調査のために読む、っていう状態なのかな。
普通はそんなことをいうと、「作品の面白さはどうした?」ってことになりそうだけど、「イニシエーション・ラブ」の著者は数学科卒。そう考えてみると、調査のために再読、真剣に読み直すという読み方は、案外悪い意味ではなく、むしろそれが狙いでした、なんていうように思われているのではないだろうか。是非ご一読を。