1か89に収束?(その1)~ドラマ「デート」より

3月までやっていた「デート」の第9話で、
「『どのような数字も各桁の2乗の和を足す』と、必ず1か89になる」という話がありました。

以下ではこれを証明しようと思います。
証明と言っても、この記事ではなんとなく理解できればいいことを優先して、
数学的な精密さを犠牲にします。

また、便宜上『 』内の作業を「操作」と呼ぶことにします。

<前提>
まず、89というのは、この先も
  82 + 92 = 145
のように計算を続けることができますが、このあとこれを繰り返すと、
  89 → 145 → 42 → 20 → 4 → 16 → 37 → 58 → 89
のように、再び89が出てくるサイクルに入ります。なので、89を最終形の一つといっているのでしょう。ここに出てくる他の7種類の数字も89系列の最終形です。
 もう一つは、1です。これは明らかに次の数字を得ることができませんので、名実ともに最終形です。

<方針>
ここでの証明方法の方針を先に示します。

すべての数字を、89以下の数(グループA)と、90以上の数(グループB)に分けます。
このとき、
①90以上の数字(グループB)はすべて89以下の数字(グループA)になることを示し、
②そのあと、グループAの数字すべてが、89か1になることを示す
という手順で示します。

<STEP1>
では、グループBの数がすべてグループAに変わることを順に証明しましょう。

<STEP1-1>
まずは、「4桁以上の数字に対してこの操作を何度か行えば、必ず3桁以下の数字になる」ことを示しましょう。

n桁の数のうち、操作後に最も大きくなる数字は、9…9と9が並ぶ数字のときです。
9がn個並ぶn桁の数に対して操作を行うと、その結果は81nとなるので、
そのほかのどのようなn桁の数に操作をしても、81n以下になることが分かります。

これにより、4桁の数字に対しては3桁以下に、5桁以上の数に対しても確実に桁数が下がるので、この操作を行うことで、最終的には3桁以下になることが分かる。

これにより、1000以上の数について考える必要はなくなります。

<STEP1-2>
次に「243以上の3桁の数は、この操作により必ず243以下になる」ことを示しましょう。

これは<STEP1-1>と同様に考えれば簡単で、
3桁の整数で、操作後の数が最も大きくなるのは999だが、
999であっても操作後の数字はたかだか243であるため、
いかなる3桁の数字であっても、操作後の数字は243以下である。

これにより、244以上の数字も考える必要はないことが分かる。

<STEP1-3>
次に、「200~243の数字にこの操作をすると、2桁の数字になる」ことを確認します。
200~243の間にある、操作後に最も大きくなる数は239であるが、この数に操作をしても、
239→4+9+81=94
と、たかだか94である。よって、200~243のどの数字にこの操作をしても、2桁の数にしかなりえないことが分かる。
(2桁の数はあとで考えるので、これらの数字については調査を終えます。)

<STEP1-4>
残りは90から199の間の数字ですが、先に3桁の数を片付けましょう。
100から199の数のうち、ほとんどは操作後2桁になるので、
「100から199の数のうち、1回の操作後も3桁になる数が、何度か操作すれば2桁になる」ことを示しましょう。

ここは、一つ一つ確認します。すると、

199, 198, 197, 196, 195, 194,
188, 187, 186

の9つの数が、操作後も3桁となることが分かります。
(これ以外の数字は、操作をすると2桁になりますので、これらは後で確認する。)

さて、これらの数字については、最後まで計算する必要はありません。
確かにこれらの数字は操作後に3桁になりますが、
ここに示した9個以外の3桁以外の数字になるのであれば、
その次の操作で2桁になるので、考える必要はありません。

そして、すべての数字がここに示した9個以外の3桁の整数になることは、以下のように示すことができます。

この中で最も大きい数字になるのは、
199→163であるが、これは、上に示したどの数字よりも小さい。
よって、すべてを計算するまでもなく、上の3桁の数字はいずれも163以下の数字に変わる。
163以下の数字は、次に行われる操作で2桁になる。

<STEP1-5>
ここまで、「2桁の数になるから、あとで考える」といったところがありました。
そのうち、2桁の数になった時に89以下になっているとすれば、それはグループBになるということですので、
もう<STEP1>での証明は終了です。

最後に90から99の間の数について、
これらが何回かの操作で89以下になる、すなわちグループBになるということが証明できれば、
<STEP1>の証明は終了です。

これは、一つずつ示します。手を動かします。

90→81
91→82
92→85
93→90(→上の90を参照)
94→97(→下の97を参照)
95→106→37
96→117→51
97→130→10
98→145→42
99→162→41

以上より、<STEP1>の目標で当った
「90以上の数はすべて一度は89以下になる」ことを示すことができました。

とても長くなったので、2回に分けます。
つづきはこちら。

引き続きセンター試験

引き続きセンター数学IAの解答作成。
IAは問題形式が変わって、各分野の扱いが浅くなったことで、問題がどれも易しくなった。
それでも三角比で図形見ながら最大最小を求める問題とかはいい問題だった。
個人的にはメネラウスの定理をすっかり忘れていて平面図形でつまづいた。

とりあえず解答は作ったけど、図形とかがうまく表示できないからどうするか悩むなあ。
まあ、それは明日以降考えよう。
とにかく完成できてよかったよかった。

センター試験

いよいよセンター試験(数学)当日!
問題公開は夕方からなので、昼はご飯と買い物に外へ。
早めに帰ってきたんだけど、Twitterに一部IIBの問題がアップされていたので、
それを見ながら解答速報を作成。

微分の定義が出題されて話題になっていたけれど、そんなの出来て当然。
それより、数列の難しさが今までと比べ物にならないレベルだった。
多分中堅私大の理系の入試にしてもそこそこの人が解けないんじゃないかというレベル。
これはセンター向きじゃないよ!来年からが思いやられます。

その他は目立った難問もなく、この日はIIBの解説を作成したところで終了。

算数クイズ

最近思いついた算数の問題。
掛け算をすることなく、解いてみてください。

7×1233=8631です。では、
7×1234=?

別にひねってるわけでもなくて、
こういう問題を解ける小学生を育てていきたいなあ、ってつくづく思います。

答えは、
8631 + 7 = 8638
です。

掛け算というのは、もともとは足し算なのですから、
「7が1233個集まると、8631になる。じゃあ1234個になるときは、8631より7大きい数だ」
とわかればいいだけのことです。

ただ、何も考えずにがむしゃらに掛け算をしてしまう人が、本当に多くて困ります。
算数の面白さに触れられないまま大人になるのはもったいないので、
もっとこういうのを広めていかないと、と思ったりします。

概念を拡張する

高校生の時の話。

数学では、相加相乗という絶対不等式(相加平均はかならず相乗平均より大きくなる、というもの)があるのですが、
高校ではこの相加相乗平均の不等式は2文字のパターンで習います。

そんななか、友達と雑談をしているときにふと、
「これって文字数増やしても成り立つのかな?」という疑問が起きまして。
すぐに何パターンか、適当な3つの数字で計算してみると、どうやら成り立ちそうだ、とわかるわけです。

本来は、これを証明しなければいけないのですが、
証明の仕方を考える前にインターネットで検索してしまい、
実際に成り立つということと同時に、いくつかの証明まで見つけてしまいました。
この経験は、いまでも記憶に残っています。

この経験で学んだことは、2つあって、
ひとつは、概念の拡張について。
2文字でできることはN文字でも成り立つのではないか、
2次元の概念がn次元でも成り立つのではないか、といろいろ考えることは、
数学において非常に大事なことだと思いました。

それと同時に、すぐに答えを見てしまったことは残念でした。
せっかく面白いテーマを見つけたのだから、
それを証明する方法を、じっくり考えてみたらよかったのに。

数学は奥が深いし、思考のトレーニングに本当によい道具です。

センター数学

今年は出張とかぶってしまって、
久しぶりに当日に速報できなかったセンター試験!
今日ざっくり解きながらHPを更新してました。

それほど難しくなく、でもちゃんと勉強してないとちょっと解きづらい問題もあったりと、ちょうどよいレベルじゃないでしょうか。

それにしてもPCにTeXの設定をしないとPDF版が作れないんだよなあ。早く設定しないと!

数学テキスト

今日からお休みで実家に帰ります。
さすがにPCがないと辛いと思い、昔使っていたミニノートPCを発掘して、
多少メンテして持ち帰ったんだけど、
その中に、昔ちょっとだけ書いた数学テキストの「ベクトル」のテキストが入っていた。

高校ではあまり習わない、外積と空間の方程式の部分だけささっと書いていたものなんだけど、
読み返してみたら、特に空間の方程式への導入が結構面白く書けていたから、
これを早く公開したいと思った……んだけどなかなかそんな時間がないんだよなあ。

それにしても、XPのパソコンは起動が遅い。

手直し

センター試験のHPをアップグレード。
ミスしていた部分を手直ししたり、問題文を入力したり。

実はまだ直してないことに気付いているけど、そのままにしている場所があるんだよな…
早めにこっそり直しておこう。

今年もたくさんの訪問をありがとうございます。
来年からはPDFも翌日朝までの更新を目指しますので、
引き続きどうぞよろしくお願いします。

さて、2月からは私大、国立入試と、今年も忙しい時期がやってきたな。

センター数学

センター試験。
毎年、何時に問題が公開されるか分からないので、前もって待機。
あとは、ツイッターとかで受験生の様子を見てました。

問題入手後はひたすら解く。
数学IAの第3問の難化っぷりはなかった。
図形だと、気付かないと解けない、というパターンが多いので、
時間に限りのある問題で高級な(時間のかかる)問題を出されるとかなり厳しいのでは。

その他はそれほど難しいところもなく、
24時までには解説付き解答速報も終わらせることができました。

もう一つの新企画

さらにもう一コンテンツ開始した。
たけしのコマ大数学科という、フジテレビの深夜番組があるんだけど、
この番組の記事を書きたいと思ったのではじめて見た。

この番組、数学のよさを最大限引き出していると僕は信じている。
というのも、一つの問題に対して、力づくで解こうとするコマ大チームと、
頭を使って解こうとするたけしさん、東大生のチームが競い、
最後に先生の解説があるというもの。

大事なのはコマ大チームの存在。
数学の問題も、問題の題意を理解したらまずは何かしらやってみる、この心意気が大事なんだと思う。
それをやっているうちに、問題の本質が見えてきたり、
こうやったらいいんじゃないかという新しいアイデアがでてきたりするものだから。

ただ、ここの部分を毎週分追いかけるのは難しいので、
ここはテレビを見ている人のお楽しみということにして、
サイトでは問題の解答と、先生の説明とその補足ということにしようと思っています。

先生の説明の時間は、放送時間の関係上、
あと編集者が数学の知識が多少少ないだろうことから、
たびたび最低限のもの(ときによって最低限以下の説明だけ)になってしまっている。

そこで、できるだけその問題を奥深く掘り上げていく部分もフォローできればと思います。

いかんせんすでに放送300回目前ということもあって、
過去の問題の公開だけで気が遠くなるぐらいの時間がかかりそうですが、
ゆっくり更新を続けて行こうと思います。