「数奇にして模型」/森博嗣

 やっと読み終わったので森博嗣S&Mシリーズ9作目「数奇にして模型」の感想。最後2冊は驚くべき厚さでちょっとげんなりしそうです。修論近くて忙しかったので読む速度もかなり遅かったですが。

 やっと萌絵登場で普通のお話。大学が舞台っていうのも森博嗣作品らしくてよい。いや今回は大学が舞台ってほどでもないけど。模型を作る人の気持ちはあんまり分からないし、動機というか結末というか、その辺がなんとなく反則技のように思った。それがトリックだったのか! みたいなことは一切無いっていうのは森博嗣にしてはあまり面白くないような。「笑わない数学者」のときのように、犯人探しそっちのけで森博嗣が仕掛けたトリックにはまりたかったかも。
 でも解説とかを読んでると、森博嗣の昔の姿があって、自分達の世界を紹介したかったのかな、と思う。普段伝えることができない世界、それは特に大学教授という仕事や、あるいは作家という仕事でもあまり紹介できないものだったけど、ストーリーの中の登場人物に語らせるという形でその思いを昇華させているのかと思う。
 今回も理系的考え方がたくさんでてきて、そこを理解できるかどうかはこの作品をより楽しめるかどうか変わってくると思います。

 いよいよ次が最終作。2月中に読みきりたいなぁ。