ノーベル物理学賞記念ということで、ニュートリノについての考察なんぞをしようと思います。高校ぐらいの知識は必要になるかも知れません。
不定期連載第1回は、「ニュートリノとその周辺の雑談」と称して話を進めましょう。
まずニュートリノと聞くと、ここを読んでいるみなさんは何を思い浮かべるでしょう? 僕がパッと思いついたものは、「質量がちょびっとある」、「スーパーカミオカンデ」とかぐらいでしょうか。
この連載では、ニュートリノというものがどのようなものかを、分かりやすく紹介していきたいと思います。といっても、今回ノーベル賞を取ったぐらいで、かなり最新の物理学に近い部分にかかわってくるので、あまり深いことは私も知りませんので、詳しいことは小柴教授にでも聞いてください(爆
まずはそんなニュートリノについてまったく予備知識のない方のために、いくつかの雑学を勉強してもらいましょう。つまり、いろんなことを知らないとニュートリノを理解するのは難しい、ってことです。
ニュートリノってのは、素粒子の一つなんですが、その素粒子とはなにかということからお話ししましょう。
素粒子というのは、物質を構造する基本的な粒子のことです。例えば、分子は、原子核とそのまわりの電子からできていることは高校の化学で学習したと思います。つまり簡単に分かる範囲で素粒子とは、電子や陽子、中性子ということになります。ただし、研究の結果、陽子や中性子はさらに細かく割ることができることが分かったため、厳密には素粒子ではなく、陽子や中性子を構成するクォークが素粒子だということになっています。
もう少し詳しく説明しましょう。粒子には沢山の種類があるのですが、大きく分けると、バリオン(重粒子)、メソン(中間子)、レプトン(軽粒子)、光子などに分けることができる。ここでバリオンとメソンは強い相互作用を及ぼしている粒子で、あわせてハドロンと呼びます。しかし、ハドロンはクォークという素粒子にさらに細かくできます。素粒子ではないことになります。
つまり、素粒子は、「クォーク」と「レプトン」と、その他沢山ということになります。さて、そんな素粒子同士は、4つの力を通して影響しあっています。
1つ目は重力、2つ目は電磁力、3つ目は、原子核を構成する陽子や中性子など、つまりクオークに働く「強い力」、4つ目は、ベータ崩壊などに関与し、クオークにもレプトン(軽粒子)にも働く「弱い力」。
物理学者達は、これら4つの力を一つの方程式で表したがっているのですが、今のところ未達成なのです(*)。
続いて、クォークとレプトンという、2種類の素粒子について見ていくことにしましょう。
クォークについて
ハドロンにはたくさんの種類があります。そこで、これらをうまく分類することが1960年代に考えられました。
陽子や中性子などのバリオンは、クォーク3個、π中間子などのメソンはクォークと反クォークという対からできていると考えるアイディアです。
クォークは6種類あり、「アップ(u)とダウン(d)」、「ストレンジ(s)とチャーム(c)」、「ボトム(b)とトップ(t)」とペアを作っており、それぞれ電荷は「+2/3、-1/3」です。
これによって、陽子は電荷+1ですが、これはu+u+dと考えればよく、中性子は電荷0で、これはu+d+dと考えることになります。
湯川秀樹博士の予言したπ中間子は、uまたはdと、その反クォークからできています。
レプトンについて
レプトンとは、強い力を感じない素粒子のことです。これも6つの種類があり、
電子(e–)、ミューオン(μ–)、タウ(τ–)と、それと対をなす電子ニュートリノ(νe–)、ミューオンニュートリノ(νμ–)、タウニュートリノ(ντ–)と呼ばれています。
さて、ようやくニュートリノという言葉が出てきました! しかし、今回は量が多くなってしまったのでここで終わりにしましょう。
なんとも尻切れトンボな感じですが、次回は、ニュートリノの歴史とその周辺について見ていくことにする予定です。乞うご期待!
[主な参考HP]
KEK(つくば・高エネルギー加速器研究機構)内、キッズサイエンティスト
(以後追加予定)
*追加。ノーベル化学賞も田中耕一さんという日本人が受賞したみたいですね!