「のだめカンタービレ 後編」

そういえば、見たのは4月なのに書き忘れていたので。

ついに完結。ついこないだアニメ版の方をみて、
あっちが漫画に忠実なら、こっちは映画用にカスタマイズされていったお話。
原作とはちょっとずつ変えられていましたが、
もともとのテレビ版を基本軸に考えるとこれはこれでよい流れだと思います。

漫画にかかれていたルイの成長や、ターニャと黒木くんの話、
そのほかもろもろは時間を考えると切り捨ててもしょうがない。
逆に日本の仲間のその後をしっかり描いたのは、
テレビ版から放置されていた部分にケリをつけるためにも必要。
そうすると、これが時間精一杯かなあと。

のだめの初舞台のところで、のだめが自分からオケを引っ張っていったり、
本番でむちゃくちゃな(いい意味で)演奏をしたり、というくだりは、
のだめの成長と変わっていない部分を表現するためにも
是非入れたほうが良かったんじゃないかなとは思うけどね。

最後の最後は、原作とはちょっとだけちがうけど、基本的には同じ。
のだめが自分の道をしっかり歩んでいくとともに、
受けてである私たちに考える余地を持たせたエンディングの作り方。
ポスターにはfin?とありましたが、なんらかの形でまた続きが見られるといいな?、と。

「ペンギン・ハイウェイ」/森見登美彦

森見先生の最新作は、京都を離れて、大学生を離れて、これまでとは一味違う作品になっていたと思います。
しかし、森見流は健在。おっぱい!

これをSFというのか、ファンタジーというのか、ジュブナイルともいえそうな、なんともほんわかした作品です。

大きな流れで言えば、小学生が町で起こる不思議な事件について“研究”していくものですが、
その合間合間に小学生なら誰もが経験する「自分たちだけの秘密」「小さな冒険」「大人へのあこがれ」「ちょっとした恋心」「ちょっとしたライバル」といったテーマが
次々に出てきて、子供らしさを演出してくれます。

また事件というのが、SFらしくかわいらしい。
ペンギンがなぜか発生して、<海>とよばれる謎の物体がいて、そしてそれらとは一見無縁の歯科医院のお姉さん。
そしてうまく導いてくれるお父さんの存在。

この本に、小学生の醍醐味がぎゅっと詰め込まれているような、そして人生やいろんなことについて考えさせられる、文学的な匂いも感じられる作品でした。

さらにここに森見氏ならではの妄想が加わって、うまく融合していたから、本当に森見氏はすごい。
「?乙女」とかもよかったんだけど、これはこれで森見作品の中のベスト作品だと思います。是非読んでください。

「インシテミル」/米澤穂信

純ミステリ。
逃げ場のない密閉空間におかれた12人を極限状態においたら、みたいなやつ。
それ以上でもそれ以下でもないんですが、映画化するらしく文庫になってたので読んでみた。

読み応えはまあ普通。トリックがやや普通だったけど、こういう設定ではもはや驚くようなトリックとかはなかなかないんでしょうか。
娯楽として楽しめる作品とは思います。

イカ

実家にかえって、イカのさばき方を覚えてきた。

思えば、中学か高校の家庭科で一度やってるんだよね。墨袋をつぶさないように、すーっと抜くだけ。
ああ、でもあれは女の子がやってたっけ。

夏になると、安いからという理由なのか、
母親がしばしばイカを生姜醤油かなにかに漬け込んで焼いたものを作ってくれていたんですよ。
これがうまいことうまいこと。父親は酒のツマミに、私は夕飯前の前菜として食べてました。

これは多分僕でも作れるぞ、と思って調理を覚えてきました。これで簡単おつまみが作れますな。うほうほ。

「オー!ファーザー」/伊坂幸太郎

「SOSの猿」のとき、『新しいジャンルに手をかけている、過渡期なのでは』みたいなことを書きました。
今回はどちらかというとSOSより前の伊坂の雰囲気が漂う本作品。
連載時を考えると納得です。

4人の父親がいる高校生・由紀夫の日常、がなぜか変な事件に巻き込まれていく、という不思議な展開の話。
4人の父親はそれぞれキャラクターが違い、そえぞれがとことん魅力的であり、それらのよいところが主人公に受け継がれ、いろんな問題がなぜかうまく解決していく。

「ゴールデンスランバー」などのように伏線がうまくはまっていく、といった感じではないが、
飄々としているがどこか魅力的というキャラクタが多いところはこれまでの伊坂作品に負けてません。
すべての父親がある意味で理想の父親なのではないかなあ。

参考文献がちょっと面白いので触れておきます。
1つ目の「東大東工大入試」の本。序盤に出てくる数学の問題(東工大の問題です)の参考にしたのでしょう。
本にはフェルマの定理という単語が紹介されていますが、発想がそれににているだけで、あの問題は多分フェルマの定理では解けないと思います。

2つ目の「フェルミ推計」の本。
中盤で出てきた、地球の直径は107メートル、歩幅は100メートル、みたいなことを覚えておくとよいといったところです。
ちょっと前から僕もフェルミ推計に興味があったので、妙に伊坂に親近感。

twitter

ツイッターをはじめてみた。が、楽しみ方がわからない!!
とりあえず、トップページにタイムラインを表示してみたので、フォローしてくれたりしたら嬉しいです。
あ、あとmixiと連携してるんで、mixiでも見れる人は見れますよ。

すげー、と思う音楽家

ちょっと本屋めぐりしようとおもって、
仕事終わりに本屋行ったりBOOKOFF行ったり、その流れでマルイ行ったりしてました。

マルイのエレベータ乗ってたら、おっさんがシャカシャカとイヤホンの音楽をダダ漏れさせながら乗り込んできた。
曲が「あいたかったー、あいたかったー、あいたかったー、イエス!」だったんですよ。
実はこの曲、サビしか知らないんですが、リズムと音質からBメロぐらいの時点で分かった自分を誉めてやりたい。

というかね、これは秋元康がすごいんだと思うわけ。
曲の雰囲気だけでAKB48だと思わせられる曲作りって、やっぱりすげーよ。
他にもいるよね、こういう人は。たとえば槇原敬之とか、音楽だけで分かる。僕の場合、aikoとか、flumpoolとかもコード進行とかで分かっちゃったりするけどさ。

こういう、音楽の曲調や音色、それらを聞いただけで自己主張が出来るというのは、
非常にすばらしいことだと思うのです。

あれ、何の話やったっけ?

「TOGIO」/太郎想史郎

このミス大賞作ですが、もはやミステリじゃない、ファンタジー?

圧倒的な作品だったからミステリという枠にはまらず授賞を決めた、と選考員のコメントにあったんだよね。
……どこが?

設定とかを考えるに、未来の日本なのだろうなあ、と思うだろう。
すると、そういう目で見ると、現代社会の問題を辛辣に描いていたると捕らえられるが、
そう考えればこの世界自体がミステリである、という拡大解釈に至ることができる。
それは素晴らしいことに気付かせてくれたとは思うが。

しかし文章は(少なくとも僕には)あまり読みやすいとは言えず、
展開も突飛だったりして主張が鈍る。んー、どうなんでしょう?

「カッコウの卵は誰のもの」/東野圭吾

文章や内容は普段の東野作品並みですが、テーマがさすが東野圭吾。
遺伝子と親子関係を誰にでも読めるミステリ風に仕上げたということ自体が驚くべきことではないか!

こういう一般読者が慣れないテーマ、新しい技術や話題を、
誰にでも読みやすく、するりと一まとめに出来てしまう能力の高さには脱帽してしまいます。

まあ、とはいってもミステリ風であって、ミステリではないのが東野圭吾。ドキドキ感にはちょっと欠けるかな。