「ブレイブ・ストーリー」/宮部みゆき

 ようやく読み終わった。時間かかったなぁ。以下感想です。今回はオタクであることを露呈しながら書きます。
 宮部みゆきの他の作品を知らないので可もなく不可もなく、といったところ。もし著者の書く他の推理小説が秀逸なら、間違いなく駄作。普段もこの程度なら及第点。
 最終的な結末がそれほど面白くない。まぁ小学生という設定ならこれぐらいでしょうがないのかもしれないけど、富士見ファンタジア文庫だとか、角川スニーカー文庫に見られるようなファンタジー小説でも、これより大事な面白いことを気付かせてくれるぞ、と思うと萎え。
 そういう意味で一度作者は(クォリティの高い)ファンタジー小説を読んで、中高生が愛読するファンタジー小説の今のレベルに触れるべきだと思う。これらの作品の中にも、この作品を超える感動や勇気を与えてくれる作品はたくさんある。僕から見ると、当然そのような作品よりはだいぶ評価が低くなる。
 ただし、こういう著名作家がファンタジー小説を書くというのは面白いし、世間の人々にこういう世界があることを知ってもらえるきっかけになればと思うところもある。

 あと、こうやって全1400ページ近い本を読んでもレビュー1回しか書けないんじゃ、コストパフォーマンス悪すぎだよ(汗

「変身」/東野圭吾

 久々にブックレビュー。今日はまたまた東野圭吾の本で「変身」です。ちなみに読んだのは3月下旬です(汗

 はっきりいってそれほど面白くなかった。文字通り変身してしまう内容で、殺人事件、というよりはじわじわくる恐怖を味わうような内容。
 文章は相変わらず理系っぽくて、まぁそれがピッタリ合っている。じわじわくる恐怖を上手く表現しているようにも思ったし、それなりには怖かったんだけど、「秘密」や「白夜行」を読んだ後にこれを読むと、いまいちパンチが足りないように思った。1994年の作品だし、まだまだ?(笑)
 ああ、あんまり悪いことは書きたくないと思ってたんだけど、ちょっと辛口になってしまった。悪くはないんだけどさ。
 また次回に期待。

「秘密」/東野圭吾

 この連休?に仙台に行っている間に読んでいた「秘密」/東野圭吾を読了。

 なんだか、男からしたらかなり切ないエンディングだったような気がする。「秘密」といタイトルにはそういう意味が入っていたんだ、と思うと最後の数ページがとっても意味を持ってきてます。こんな複雑で切ない恋愛は、本の中でしかありえないけど、だからこそ泣けたのかもしれない。
 ものすごく切なくて、ミステリで泣きそうになったのは初めてです。本を読んで泣きそうになるのもあまりないですから。映画とかだったらメチャクチャ泣いてますけど。

 これまで読んできた東野圭吾作品とは違う、どちらかというと感動できる作品だと僕は思います。男の人に、是非読んでほしいなぁ。

「ゲームの名は誘拐」/東野圭吾

 今日は「ゲームの名は誘拐」を一気に読み切りました。

 映画よりもさっぱり、あっさりめのエンディングを迎えて、ある意味「綺麗な」終わり方だなぁと。なるほど、という感じ。ただ、映画のような理不尽な終わり方の方が東野圭吾らしいといえばらしいのかもしれない。
 設定が複雑なため、動機とかが非常に薄い。「放課後」より薄い。後半のスリリング感もなんとなく弱い。パンチ力に欠けるといったところ。
 どうしても映画を見ているからそっちと比較してしまうのだけれど、映画はもうちょっとうまく練られているため、そっちを知っているといろいろ深読みして読むことができて、それがよいのか悪いのか。
 本もいいけど、今作品に限るとアクション要素があるので、映画の方が躍動感があって好みかも。エンディングはどちらも微妙、足して2で割った折衷案あたりがいい。

「放課後」/東野圭吾

 「放課後」を読了しました。東野圭吾にはじめて挑戦してみた。

 デビュー作で、賞を取ったというから、どんな作品かと思えば学園もの。さらにトリックもそれほど複雑ではなく、今から思えば「こんな作品でよく…」と思ってしまいそうだが、これによって東野圭吾が発掘されたのかと思うと、審査員の目は間違っていなかったとも思える。

 学園ものとはいえ、よくあるパターンではないのは面白い。しかし、審査員の誰かが書いていた「最後のくだりは不必要」という酷評にはうなずける気もするが、反面、あれが東野圭吾的オチであることは現在なら誰もが分かることであろう。ただし、現在ではもっと伏線がきちんと張ってあるのに対し、この作品ではその伏線がないため、突拍子もない感じになっているが。

「国語入試問題必勝法」/清水義範

 しばらく前から気になっていた「国語入試問題必勝法」という本を買って読んでました。昨日と同じ清水義範さんの本。昨日とは違い、短編集なのですが、なかなか面白い。

 タイトルと同じ作品「国語入試問題必勝法」は、国語の入試を扱ったコメディ。受験生のあるあるネタみたいな気もする。実際に受験生のときに同じような会話をしたことがある。
 選択肢で共通のものがあるのが正解とか、的外れ、似たニュアンスは間違い、適度なはずれが正解、とかいうのは本質を突いている気がする。前者は小学生レベルならかなり通用するし、後者は「言い換え」というキーワードから試験問題を紐解けばかなり本質的だ。
 ちょっとはまってしまうかも。

 直接読書とは関係ないけど、今日のニュースで、国語力低下『私大生の19%「中学生並み」』という記事がYahoo!に載っていました。前にも同じようなのがあったような。
 単語の語彙を問う問題が例にありましたが、「奔走する(高2)」「嫡流(高3)」「憂える(高3)」だとか、ちょっと本を読んでいる人なら誰もが知っているような気もするのですが、やはり読書離れというか国語離れというか。日本の未来を憂う結果となってます。
 問題は、大学入試の多様化にもあると記事は指摘しています。確かに勉強のあまりにできない人が大学に進学できる状況にあるのは間違いないでしょう。
 否定はしませんが、素直に肯定できることでもないような気がします。入試に関係なく、大学生か高校生かなどに関係なく、本を読むなどはすべきかと。

「新解さんの読み方」/夏石鈴子

 この前「新明解国語辞典って面白いよ!」ってなことを書いたわけですが、今日はついにこんな本を買ってしまいました。

 「新解さんの読み方」/夏石鈴子

 新明解に、どのようなことが書かれているか、その一部が事細かに、歯切れ良いツッコミとともに書かれています。
 いや、マジで面白いです。いかに新明解国語辞典が世相を反映したり、そして世の中にキビシく書かれているか分かります。そして何より、辞典は生き物だなぁと感じさせられます。

 こんな本を読んだら、辞書そのものが欲しくなってしまうじゃないですか。今売っているのが第6版。それまでの5つの版はそれぞれ少しずつ違うわけです。コレクター魂から行けばすべてほしいぐらいです!
 あなたも良かったら、是非新明解を手にとって、「恋愛」だとか「動物園」だとか、本にあった物から挙げると、「白墨」だとか「ハッピーエンド」だとか、まぁとにかく手当たり次第見てたら面白い言葉が載ってるはずです。

 うわぁ、めっちゃ辞書欲しい!

「蹴りたい背中」/綿谷りさ

 アイドルオタクの話です。ウソ。よっぽどニナ川はカッコイイ人なのでしょう(じゃないとあんな展開ふつうナイヨ? アイドルオタクってキモイ人多いんだよ~)。
 似たような境遇にある二人。ニナ川の行動に興味を持つ。恋愛しているのかな、それよりちょっと手前?
 でも、いつの間にかハマって、いつの間にか嫉妬して、いつの間にかその人の行動に刺激を受けて。可愛すぎて、ついあいつの背中を蹴りたくなる。
 分かる気がします。いや、わからんわ。

 最後のシーンは、ニナ川を安心させようとしたのかな、不器用な愛情表現のように思います。
 冒頭で淡泊な主人公のイメージだったのに、読んでいると「全然淡泊ちゃうやん」というツッコミを入れたくなるストーリー。淡泊で言えば、一連を通じて描かれる淡泊な友情も見所かな。

「日本のスイッチ」/慶応義塾大学佐藤雅彦研究室

※この日記は2007年9月22日に読書メモとして加筆・修正しています。

 日本のスイッチという企画が面白い。

「体育の日はやっぱり10月10日の方がよい(2002年10月28日)」
回答 10月10日派:60%、第2月曜日派:40%

 こんな質問を毎日新聞では毎週行っているそうです(私は買っていないのでしりませんが)。たわいない質問に携帯で答えてもらい、その結果から時代の空気、雰囲気を知っていこうという企画だそうで、慶應義塾大学の佐藤雅彦研究室と共に既に1年半以上も続いています。

 そのノベライズ?本が売っていたので、つい買ってしまいました。僕も日本人の空気や雰囲気を知りたいと思って。
 いや、面白い。日本の多数派少数派、どのようなことを考えているのか、常識とはどのようなものなのか、またくだらない質問もあり、結構楽しめる本です。
 面白い質問をいくつか。

タマちゃんを「見守る会」と「想う会」(2003年3月31日)
→区別がつく(32%)or区別つかない(68%)

東京ドーム何個分、という例え方は(2003年9月8日)
→想像しやすい(24%)、わかりにくい(76%)

 もちろん、こんな質問ばかりじゃないです。政治や経済ニュースを取り入れた設問もたくさんあります。

 ちょっとした質問から、人々の意識を知っていく。面白い企画じゃないですか。イズミは「日本のスイッチ」を応援します(謎

「蛇にピアス」/金谷ひとみ

 今週は読書ウイークのようで、「世界の中心で、愛をさけぶ」に続いて、「蛇にピアス」「蹴りたい背中」を読んできました。図書館の文藝春秋のバックナンバーですよ。

 今日は蛇にピアスの感想。

 まず、僕の頭にない世界観なので、その文章を読むのには苦労しました。感想も困ってるんです。何を書いて良いのか。
 いろいろ感じることはあるけれど、そのもやもやしたところを理解するには行き着かず、ピアスの大きさだけが大きくなっていく、、、といった話。このもやもや感は、本を読んで分かって欲しいところ。口ではどうしても伝えにくい。
 特に後半、何かに急がされているルイの様子。私は単純にスリリングな展開に引き込まれてしまいました。
 今だけを生きている? 未来は? 過去は? 何を考えているのか? 何を感じて生きているのか? ルイの生き方にどれぐらい共感?
 ある意味単純なルイの生き方。いろんな読み方が出来る作品だと思います。