「なぜ日本人は学ばなくなったのか」/斎藤孝

 斎藤孝の「なぜ日本人は学ばなくなったのか」を読了したのでメモ。

 とりあえず著者の言いたいことは「リスペクト」が足りない、ということみたいです。それを言うために手を変え品を変え、まわりくどい事をたくさんいってました。
 リスペクトが足りない、という部分には共感。圧倒的な力を見せ付けられてそれを目指す、というのは自己成長の最も基本的な精神だと思うし、人間の本質とさえ言ってもいい気がします。それが失われ「楽でさえあればよい」というのは、やっぱりよろしくないよなぁ。
 一方で、リスペクトしたいと思える人間が周囲にいない、という現代についても触れてほしいが。

 あとは昔はよかった、読書量も減ってるし、哲学一般の知識も豊富だった、という大人の昔話をしている部分が多かったなぁ。若者に読んでもらえるようにと「です」「ます」口調で書いたとしても、こんな回想シーンが多いと若者はつらいかも。「中学生になったら洋楽を聴いて、大学生になるとジャズを聴く」って何のたとえだよ(汗
 本で提言するだけじゃなくて、社会のシステム全体を変えるぐらいのことをしないと、そう簡単には日本人が学ぶようにはならないよ。

「震度0」/横山秀夫

 クライマーズ・ハイで有名になっている横山秀夫の震度0が本屋で平積みになってたので、図書館で借りてきて読みました。
 が、そんなに警察内部の話に興味があるわけじゃなかったので、ああいう書き方されてもあまり惹かれるものではなかったです。ああいうの好きな人もいるでしょうけど。

「クローズド・ノート」/雫井脩介

 雫井脩介作品をはじめて読んだのですが、まぁこれは映画化もされたから有名ですね。「……別に」のやつです(汗

 とっても優しい話でした。香恵の視点を通じて、読者の誰もが息吹先生の人柄に惚れ込んでしまうことでしょう。僕はそうでした。
 映画版でどのようになっているのか気になるけど、この優しい話をうまく料理して優しい映画になっていることを期待です。

 発売はもっと前だけど、下期お勧め作品の1つとなりそうです。

「ザ・万歩計」/万城目学

 鴨川ホルモーの作者のエッセイ。図書館で万城目さんの本をひたすら予約したら、これが一番初めに届いてしまったので、普通の作品を知らぬまま、エッセイを読むことになってしまいました。

 面白かったです。冒頭のエピソード「風が吹けば桶屋が儲かる」とか、「技術という名の農業の授業」の話とかは、読んでいて興味深かったです。
 もうすぐ鴨川ホルモーも届くはずなので、楽しみです。

 ……って全然この本の感想にはなってないけどいいか。

 この人も京大か!というのは、森見登美彦を思い出してのことなんだけどね。

「工学部・水柿助教授の解脱」/森博嗣

 水柿助教授シリーズの最終巻。解説、いや、解脱を読みました。

 とうとう小説化デビューをして、お金持ちになってしまった水柿助教授の苦悩が描かれています。どうやってお金をつかったらいいんだ!という苦悩。俗に嫌味とも言われるやつです。

 まあそういうことになるんだろうな、最後まで読んだけどまあ別に、ねぇ。ただまあお金持ちの小説家のうちの1人ぐらいはこういう生活をしているのかなぁということが分かったぐらいですけど。

「図書館革命」/有川浩

 図書館戦争シリーズ最終巻をようやく読んだので読書メモ。

 最終巻は、表現の自由を守る戦い。途中ラブコメ要素が強かった本シリーズも、さすがの本作はかなりシリアスになってます。ここまで読んでいる人は、もちろん楽しめる作品です。
 幸いなことに、今の日本はきちんと表現の自由を認められていて、それが当たり前になっているけれど、それがなかった場合には、誰がそれを守れるのか、これを守ることの重要性について考えさせられます。

 堂上が笠原を守り、笠原は最後まで戦い抜く。今回は結構鳥肌の立つシーンが多くて、最終巻にふさわしい感じです。

「守護天使」/上村佑

 うーん、まあメモってことですけど。

 本屋においてあって、なんとか大賞(ラブストーリー大賞らしいです)受賞、って書いてあったので図書館で借りてきて読んでみました。

 どうやら第1回の受賞作が純粋な作品(そりゃそうだが)だったらしいということもあって、第2回の受賞作は方向性が全然違う作品。これはラブストーリーなのか?

 100歩譲ってラブストーリーだとするのはいいんだけど、で、ストーリー自体も悪くはない。そう、設定は悪くないんだ。ただ、文章が荒すぎる。もっと丁寧に描いて欲しい部分とかがたくさんあるのに、まったく心理描写がない。これで大賞というのもひどい気がした。今回悪口ですみません。

 ラブストーリー大賞ってどんなんなのだろう、という逆な意味で興味を持ってしまった。第1回受賞作とか、もう決まっているらしい第3回受賞作を読んでみないと分からないけど、多分そっちはそれなりの作品なんだろうと期待します~。

「墜ちていく僕たち」/森博嗣

 カップラーメンを食べると性別が変わってしまう、という短編集です。なんだそりゃ。

 まあ、とりあえず普段のミステリとは毛色が違って、軽く読めてしまう感じ。どの短編もラーメンを食べるんですけどね、それを続けて読んでいったときに、最終話でちゃんとオチがあるというところが、まあ心理をうまくついた作品になってるかもしれません。最終話だけ読んだら確実に意味不明だし。短編を独立した短編にせず、短編の特殊性をうまく利用した作品になってるのかもしれません。

「そして二人だけになった」/森博嗣

 かなり難解な作品の部類でした。全体の7割まではミステリを楽しむ感じ。8割~9割ぐらいまでで何となく分かってくる真相。そして、最後に「え、そういうことになるの?」というオチ?が待っている。

 完全に2重のトリック、というか2重目のトリックは普通は解けない。文章の中にある記述だけで解けないミステリはアンフェアだという議論はあるのかもしれないけど、そういう意味でいうと1重目のトリックが解ければミステリとして読む人のゴール、森博嗣読者にはそこではないところにもう1つの答えを用意しているのかなぁ。

 なぜ著者はこのような形式にしたのか、つまり1重目のトリックだけにしなかったのか、というところについてはいろいろなHPで書いてあるので割愛するけどね。
 ……とりあえずもう一度読み返さないと分からなさそうだなぁ。

「仕組み仕事術」/泉正人

 えっとね、図書館に返す期限が迫っていたので1時間で読んでしまいました。でもそれぐらいで読める。
 むしろそれぐらいの時間で要点だけをピックアップして読めば十分なんじゃないかな、こういう本は。

 まずはマニュアル化の重要性。1回マニュアルを作ればあとは誰がやっても同じクオリティのものを短時間でやることができる、という発想でこれは間違いない。ただ、僕の仕事もどちらかというと頭を使う仕事のほうなので、ただマニュアル化すればいいというわけじゃないんだよなあ。
 もう一つ、タスクリストの整理というキーポイントは結構使えるかなぁと思った。どんな細かいこともきちんとリストに載せておけば、思い出す手間、苦労や時間を節約できるわけだ。

 というわけで、今日からケータイの待ち受け画面にToDoリストを細かく記すことにしました。おお、やることがいっぱいある人みたいだ(笑