2022年 共通テスト数学IA 第2問[1]

2022年 共通テスト数学IA >>数学IIB
講評 第1問[1] 第1問[2] 第1問[3] 第2問[1] 第3問 第4問 第5問

 p , q を実数とする。花子さんと太郎さんは次の二つの2次方程式について考えている。
  x2 + px + q = 0……①
  x2 + qx + p = 0……②
 ①または②を満たす実数 x の個数を n とおく。

(1) p = 4 , q = -4 のとき、 n =  ア  である。
 また、 p = 1 , q = -2 のとき、 n =  イ  である。

(2) p = -6 のときに n = 3 になる場合を考える。

花子:例えば、①と②をともに満たす実数 x があるときは n = 3 にになりそうだね。

太郎:それを a としたら a2 – 6a + q = 0 と a2 + qa – 6 = 0 が成り立つよ。

花子:なるほど。それならば、 a2 を消去すれば、 a の値が求められそうだね。

太郎:確かに a の値が求まるけど、実際に n = 3 となっているかどうかの確認が必要だね。

花子:これ以外にも n = 3 となる場合がありそうだね。

 n = 3 となる q の値は
  q =  ウ  ,  エ 
である。ただし、  ウ  <  エ  とする。

(3) 花子さんと太郎さんは、グラフ表示ソフトを用いて、①、②の左辺を y とおいた2次関数 y = x2 + px + q と y = x2 + qx + p のグラフの動きを考えている。
 p = -6 に固定したまま、 q の値だけを変化させる。
  y = x2 – 6x + q……③
  y = x2 + qx – 6……④
の二つのグラフについて、 q = 1 のときのグラフを点線で、 q の値を1から増加させたときのグラフを実線でそれぞれ表す。このとき③のグラフの移動の様子を示すと  オ  となり、④のグラフの移動の様子を示すと  カ  となる。

  オ  ,  カ  については、最も適当なものを、次の⓪から⑦のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。なお、 x 軸と y 軸は省略してあるが、 x 軸が右方向、 y 軸は上方向がそれぞれ正の方向である。

(4)  ウ  <  エ  とする。全体集合 U を実数全体の集合とし、U の部分集合 A , B を
  A = { x | x2 – 6x + q < 0 }
  B = { x | x2 + qx – 6 < 0 }
とする。 U の部分集合 X に対し、 X の補集合を X と表す。このとき、次のことが成り立つ。

  • x ∈ A は、 x ∈ B であるための  キ 
  • x ∈ B は、 x ∈ A であるための  ク 

 キ  ク  の解答群(同じものを繰り返し選んでも良い。)

⓪ 必要条件であるが十分条件ではない
① 十分条件であるが必要条件ではない
② 必要十分条件である
③ 必要条件でも十分条件でもない

解答

 p = 4 , q = -4 のとき、2つの方程式は、
  x2 + 4x – 4 = 0
  x2 – 4x + 4 = 0
となり、解はそれぞれ、
  x = -2 ± 2√5
  x = 2
となるので、異なる解の個数は3つ。よって、 n = 3

 p = 1 , q = -2 のとき、2つの方程式は、
  x2 + x – 2 = 0
  x2 – 2x + 1 = 0
となり、解はそれぞれ、
  x = 1 , -2
  x = 1
となるので、異なる解の個数は2つ。よって、 n = 2

ウエ

問題文の誘導が若干分かりにくい。ここまで解いた問題のパターンも踏まえ、誘導に乗る前に、2つの2次方程式が異なる解を3つ持つということは、「両方が解を2つ持ち、そのうち1つが共通解となる」パターンと、「一つの方程式が重解を持ち、もう一方が異なる2解をもつ(それらが一致しない)」パターンの2つだということを想定しておくとよい。

 まずは問題文の誘導に乗って解く。共通解を a とすると、問題文にある通り、連立方程式
  a2 – 6a + q = 0
  a2 + qa – 6 = 0
を解けばよい。辺辺引くなどして a2 を消すと、
  6a – q = 6 – qa
  ( 6 + q ) a = 6 + q
となる。
 q ≠ -6 のとき両辺を 6 + q で割って、
  a = 1
となる。このとき元の式に a = 1 を代入して、 q = 5 である。
 確認すると、2つの方程式は、
  x2 – 6x + 5 = ( x – 1 ) ( x – 5 ) = 0
  x2 + 5x – 6 = ( x + 6 ) ( x – 1 ) = 0
で、確かに n = 3 となる。
 なお、 q = -6 のときは元の方程式はいずれも
  x2 – 6a – 6 = 0
となり、 n = 3 とならないのでこれは不適。

 次に、もう一つのパターン「一方が重解を持ち、一方が異なる2解(しかも重解と一致しない)を持つ」場合について考える。
 1つ目の方程式
  x2 – 6x + q = 0
が重解を持つのは、判別式 D/4 = 9 – q = 0 より q = 9 のとき。このとき、2つ目の方程式は、
  x2 + 9x – 6 = 0
となり、異なる2解 x = \displaystyle \frac{-9 \pm \sqrt{57}}{2} を持ち、条件 n = 3 を満たす。

 2つ目の方程式
  x2 + qx – 6 = 0
が重解を持つ条件を考えるが、判別式 D = q2 +24 =0 を満たす実数 q が存在しないので、この場合に n = 3 となることはない。

 以上より、 n = 3 を満たす q は、
  q = 5 , 9
である。

2次関数のグラフの位置は、頂点の位置で判断する

 移動前のグラフは、
  y = x2 – 6x + 1
= ( x – 3 )2 -8
であり、移動後のグラフは、
  y = x2 – 6x + 2
= ( x – 3 )2 -7
であるから、頂点が ( 3 , -8 ) から ( 3 , -7 ) へと移動するので、グラフはy軸の正の方向へ動く。よって正解は

 移動前のグラフは、
  y = x2 + x – 6
= ( x + 12 )2254
であり、移動後のグラフは、
  y = x2 + 2x – 6
= ( x + 1 )2 -7
であるから、頂点が ( – 12 , – 254 ) から ( -1 , -7 ) へと移動するので、グラフはx軸の負の方向、y軸負の方向へ動く。よって正解は

キク

 5 < q < 9 の範囲ということなので、まず、 q = 5 のときで図を書いてみると、以下の図1のようになる(図省略)。
 ここから q が大きくなるにつれて、グラフAは徐々に y 軸正の方向へ、グラフBは徐々に左下( x , y 軸ともに負の方向)へ移動していく(つまり、グラフ同士は離れていく)。その結果、 q = 9 のときは図2のようになる。

 この状況を踏まえ、以下それぞれの命題の真偽を確認する。

  • x ∈ A ⇒ x ∈ B は偽。 q がどのような値でもグラフが離れているので、 A , B 両方に属する x は存在しない。
  • x ∈ B ⇒ x ∈ A は偽。こちらも同様に、 q がどのような値でも A , B 両方に属する x は存在しない。
 よって、 x ∈ A ⇒はx ∈ B であるための③ 必要条件でも十分条件でもない

 つぎに、

  • x ∈ B ⇒ x ∈ A は真。 q がどのような値でも、 B に属する x は常に集合Aの外にいる。
  • x ∈ A ⇒ x ∈ B は偽。反例として、 x = 100 のような値は q の値に関わらず、集合Aにも集合Bにも属さない
 よって、 x ∈ A ⇒はx ∈ B であるための① 十分条件である

コメント

タイトルとURLをコピーしました