中にくじが入っている箱が複数あり、各箱の外見は同じであるが、当たりくじを引く確率は異なっている。くじ引きの結果から、どの箱からくじを引いた可能性が高いかを、条件付き確率を用いて考えよう。
(1) 当たりくじを引く確率が 12 である箱Aと、当たりくじを引く確率が 13 である箱Bの二つの箱の場合を考える。
(i) 各箱でくじを1本引いてはもとに戻す試行を3回繰り返したとき
箱Aにおいて、3回中ちょうど1回当たる確率は ア イ …①
箱Aにおいて、3回中ちょうど1回当たる確率は ウ エ …②
である。
(ii) まず、AとBのどちらか一方の箱をでたらめに選ぶ。次にその選んだ箱において、くじを1本引いてもとに戻す試行を3回繰り返したところ、3回中ちょうど1回当たった。このとき、箱Aが選ばれる事象を A 、箱Bが選ばれる事象 B 、3回中ちょうど1回当たる事象を W とすると
P(A∩W) = 12 ✕ ア イ , P(B∩W) = 12 ✕ ウ エ
である。 P(W) = P(A∩W) + P(B∩W) であるから、3回中ちょうど1回当たったとき、選んだ箱がAである条件付き確率 PW(A) は オカ キク となる。また、条件付き確率 PW(B) は ケコ サシ となる。
(2) (1)の PW(A) と PW(B) について、次の事実(*)が成り立つ。
事実(*)
PW(A) と PW(B) の ス は、①の確率と②の確率の ス に等しい。
ス の解答群
⓪ 和 ① 2乗の和 ② 3乗の和 ③ 比 ④ 積
(3) 花子さんと太郎さんは事実(*)について話している。
花子:事実(*)はなぜ成り立つのかな?
太郎:PW(A) と PW(B) を求めるのに必要な P(A∩W) と P(B∩W) の計算で、①、②の確率に同じ数 12 をかけているからだよ。
花子: なるほどね。外見が同じ三つの箱の場合は、同じ数 13 をかけることになるので、同様のことが成り立ちそうだね。
当たりくじを引く確率が 12 である箱A、 13 である箱B、 14 である箱Cの三つの箱の場合を考える。まず、A、B、Cのうちどれか一つの箱をでたらめに選ぶ。次にその選んだ箱において、くじを1本引いてはもとに戻す試行を3回繰り返したところ、3回中ちょうど1回当たった。このとき、選んだ箱がAである条件付き確率は セソタ チツテ となる。
(4)
花子:どうやら箱が三つの場合でも、条件付き確率の ス は各箱で3海中ちょうど1回当たりくじを引く確率の ス になっているみたいだね。
太郎:そうだね。それを利用すると、条件付き確率の値は計算しなくても、その大きさを比較することができるね。
当たりくじを引く確率が 12 である箱A、 13 である箱B、 14 である箱C、 15 である箱Dの四つの箱の場合を考える。まず、A、B、C、Dのうちどれか一つの箱をでたらめに選ぶ。次にその選んだ箱において、くじを1本引いてはもとに戻す試行を3回繰り返したところ、3回中ちょうど1回当たった。このとき、条件付き確率を用いて、どの箱からくじを引いた可能性が高いかを考える。可能性が高い方から順に並べると ト となる。
ト の解答群
⓪ A, B, C, D ① A, B, D, C ② A, C, B, D
③ A, C, D, B ④ A, D, B, C ⑤ B, A, C, D
⑥ B, A, D, C ⑦ B, C, A, D ⑧ B, C, D, A
解答
アイウエ
3回引いて1度だけあたりが出るということは、次の3通りが考えられる。
(1) あたり、はずれ、はずれ の順で出る
(2) はずれ、あたり、はずれ の順で出る
(3) はずれ、はずれ、はずれ の順で出る
箱Aにおいて、(1)となる確率は、
12 ✕ 12 ✕ 12 = 18
(2)、(3)についても同様に 18 だから、求める確率は、
18 ✕ 3 = 38
である。
箱Bの場合は、(1)となる確率は、
13✕23✕23 = 427
(2)、(3)についても同様に 427 だから、求める確率は、
427 ✕ 3 = 1227
である。
オカキクケコサシ
問題文の誘導通り、
P(W) = P(A∩W) + P(B∩W) = 316 + 29 = 59144
となるので、
PW(A) = P(A∩W)P(W) = 3/1659/144 = 2759
PW(B) = P(B∩W)P(W) = 2/959/144 = 3259
となる。
ス
PW(A)とPW(B)の関係と、①の確率と②の確率の関係を見ると、
PW(A) = 27/59
PW(A) = 32/59
①の確率 = 3/8 (= 27/72)
②の確率 = 4/9 (= 32/72)
であることから、③ 比 が等しいことがわかる。
セソタチツテ
誘導に乗って計算します。箱Cにおいて、3回引いて1回当たる確率は、2764であるから、先程の「事実(*)」が正しいとすれば、
PW(A):PW(B):PW(C) = 38 : 49 : 2764 = 216:256:243
であり、
PW(A) + PW(B) + PW(C) = 1
であるから、
PW(A) = 216216+256+243 = 216715
ト
先ほどと全く同じことを計算します。
箱Dにおいて、3回引いて1回当たる確率は、48125 だから、同じく「事実(*)」が成り立つとすれば、
PW(A) = 38 ,
PW(B) = 49 ,
PW(C) = 2764 ,
PW(D) = 48125
となる。
これを確率の高い順に並べると、⑧ B, C, D, A となる。
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