座標平面上の原点を中心とする半径 1 の円周上に 3点 P ( cosθ , sinθ ) , Q ( cosα , sinα ) , R ( cosβ , sinβ ) がある。ただし、 0 ≦ θ < α < β < 2π とする。このとき、 s と t を次のように定める。
s = cosθ + cosα + cosβ , t = sinθ + sinα + sinβ
(1) △PQRが正三角形や二等辺三角形のときの s と t の値について考察しよう。
考察1
△PQRが正三角形である場合を考える。
この場合、α,β をθで表すと
α = θ + シ 3π , β = θ + ス 3π
であり、加法定理により
cosα = セ , sinα = ソ
である。同様に、 cosβ および sinβ を、sinθ と cosθ を用いて表すことができる。
これらのことから、 s = t = タ である。
セ , ソ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
⓪ 12 sinθ + √32 cosθ ① √32 sinθ + 12 cosθ
② 12 sinθ – √32 cosθ ③ √32 sinθ – 12 cosθ
④ - 12 sinθ + √32 cosθ ⑤ - √32 sinθ + 12 cosθ
⑥ - 12 sinθ – √32 cosθ ⑦ - √32 sinθ – 12 cosθ
考察2
△PQRがPQ = PR となる二等辺三角形である場合を考える。
例えば、点Pが直線 y = x 上にあり、点Q , R が直線 y = x に関して対称であるときを考える。このとき、 θ = π4 である。また、α は α < 54π 、βは 54π < β を満たし、点Q , R の座標について、 sinβ = cosα , cosβ = sinα が成り立つ。よって
s = t = √ チ ツ + sinα + cosα
である。
ここで三角関数の合成により
sinα + cosα = √ テ sin ( α + π ト )
である。したがって
α = ナニ 12π , β = ヌネ 12π
のとき、 s = t = 0 である。
(2) 次に、 s と t の値を定めたときのθ , α , β の関係について考察しよう。
考察3
s = t = 0 の場合を考えよう。
この場合、 sin2θ + cos2θ = 1 により、αとβについて考えると
cosαcosβ + sinαsinβ = ノハ ヒ
である。
同様に、θとαについて考えると
cosθcosα + sinθsinα = ノハ ヒ
であるから、θ , α , β の範囲に注意すると
β – α = α – θ = フ ヘ π
という関係が得られる。
(3) これまでの考察を振り返ると、次の⓪~③のうち、正しいものは ホ であることがわかる。
ホ の解答群
⓪ △PQRが正三角形ならば s = t = 0 であり、 s = t = 0 ならば△PQRは正三角形である。
① △PQRが正三角形ならば s = t = 0 であるが、 s = t = 0 であっても△PQRは正三角形でない場合がある。
② △PQRが正三角形であっても s = t = 0 でない場合があるが、 s = t = 0 ならば△PQRは正三角形である。
③ △PQRが正三角形であっても s = t = 0 でない場合があり、 s = t = 0 であっても△PQRは正三角形でない場合がある。
解答
シス
正三角形ということは、点P、点Q、点Rで360°を3等分することになるので、αはθに120°加えたもの、βはαに120°加えたものになる。よって、
α = θ + 23π , β = θ + 43π
である。
セソ
加法定理より、
cos α = cos ( θ + 2π/3 )
= cosθ cos 2π/3 – sinθ sin 2π/3
= – 12 cosθ – √32 sinθ
sin α = sin ( θ + 2π/3 )
= sinθ cos 2π/3 + cosθ sin 2π/3
= – 12 sinθ + √32 cosθ
である。
タ
同様に、
cos β = cosθ cos 4π/3 – sinθ sin 4π/3
= – 12 cosθ + √32 sinθ
であり、
s = cosθ + cosα + cosβ = 0
となることが分かる。
チツ
P , Q , R の座標はそれぞれ、
P ( √22 , √22 ) Q ( cosα , sinα ) , R ( cosβ , sinβ )
であり、問題文にある通り sinβ = cosα , cosβ = sinα とすると、 R ( sinα , cosα ) となるので、
s = t = √22 + sin α + cos α
である。
テト
三角関数の合成により
sin α + cos α = √2 sin ( α + π4 )
である。
ナニヌネ
s = t = 0 となるのは、
s = √22 + √2 sin ( α + π4 ) = 0
すなわち、
√2 sin ( α + π4 ) = – 12
のときであり、これを解いて、
α + π4 = 76 π
となるので、
α = 1112 π , β = 1912 π
である。
ノハヒ
s = cosθ + cosα + cosβ , t = sinθ + sinα + sinβ について、 s = t = 0 ということは、
- cosθ = cosα + cosβ , – sinθ = sinα + sinβ
である。ここで、 cos2θ + sin2θ = 1 であるから、
( cosα + cosβ )2 + ( sinα + sinβ )2 = 1
である。これを整理すると、
cos2α + cos2β + 2cosαcosβ + sin2α + sin2β + 2sinαsinβ = 1
2 + 2 ( cosαcosβ + sinαsinβ ) = 1
すなわち、
cosαcosβ + sinαsinβ = -12
である。
フへ
三角関数の加法定理を逆に使って、
cosαcosβ + sinαsinβ
= cos ( α – β ) = -12
より、
α – β = ± 23 π
であり、ここで α < β であることから、
α – β = – 23 π
すなわち
β – α = 23 π
である。
また、問題文にある通り、θ と α についても同じことが成り立つことから、
α – θ = 23 π
である。
ホ
考察1の結果より、△PQRが正三角形であれば、 s = t = 0 であることを確認できた。
考察3の結果より、s = t = 0 であれば、
α = θ + 23 π , β = α + 23 π
となることから、△PQRが正三角形となることが分かる。
以上より、解答は ⓪ △PQRが正三角形ならば s = t = 0 であり、 s = t = 0 ならば△PQRは正三角形である。
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