2通りの解法で解く[2021 浜松医科大]

(1) AB = 4 , AC = 3 である三角形ABCの辺BCを 2 : 1 に内分する点をDとする。また、AD = 1 とする。
(a) BCの長さを求めよ。
(b) (a)とは別の解法でBCの長さを求めよ。

[2021浜松医科大]

イズミの解答への道

 問題自体は簡単な問題ですが、非常に良い問題です。
 数学ではよく、基本を終えた生徒に対して「いろんな解き方を考えてみましょう」「別解を考えてみましょう」という指導がなされます。まさにそれを突いた出題で、2つ目の解法を思いつけるかどうかということは、少なくとも中級者以上まで勉強していますよね、ということを確認できるということです。

 さて、今回の問題は図形の問題ですから、図形のまま解く(三角比もしくは平面幾何として解く)以外に、「ベクトルで解けないか?」「座標平面設定して解けないか?」あたりは定番として思いつくようにしておきたいところです。(解説に書きますが、図形の問題を図形以外の方法で解く、というのは京都大学入試での頻出テーマです。)

解答

 (a)、(b)ともに、以下の解答のいずれかを挙げればよい。

三角比の知識で解く

 BD = 2t , DC = t ( t > 0) とおく。
 △ABDと△ABCについて余弦定理を用いてcos∠Bを求めると、
  cos∠B = 4t2 + 16 – 12・2t・4 = 9t2 + 16 – 92・3t・4
を整理して、
  3 ( 4t2 + 15 ) = 2 ( 9t2 + 7 )
を解いて、
  6t2 = 31
  t = √1866
である。よって、
  BC = 3t = √1862

ベクトルで解く

内分点の公式を使えるかたちでベクトルを設定する

 Dは線分ABを2:1に内分する点なので、内分点の公式より、
  \displaystyle \overrightarrow{\text{AD}} =  \frac{1}{3}\overrightarrow{\text{AB}} +\frac{2}{3}\overrightarrow{\text{AC}}
と置けるのでこれを辺々二乗して
  \displaystyle |\overrightarrow{\text{AD}}|^2 =  \frac{1}{9}|\overrightarrow{\text{AB}}|^2 + \frac{4}{9} \overrightarrow{\text{AB}} \cdot \overrightarrow{\text{AC}} +\frac{4}{9}|\overrightarrow{\text{AC}}|^2
となり、これを整理すると、
  \displaystyle \overrightarrow{\text{AB}} \cdot \overrightarrow{\text{AC}} = -\frac{43}{4}
となる。

 求める長さは\displaystyle |\overrightarrow{\text{BC}}|なので、

    \begin{align*} |\overrightarrow{\text{BC}}|^2 &= |\overrightarrow{\text{AC}} - \overrightarrow{\text{AB}}|^2 \\ &=|\overrightarrow{\text{AC}}|^2 - 2 \overrightarrow{\text{AB}} \cdot \overrightarrow{\text{AC}} + |\overrightarrow{\text{AB}}|^2 \\ &=9 + \frac{43}{2} + 16 = \frac{93}{2} \end{align*}

となるので、 BC = √1862 となる。

座標平面を設定して解く

内分点、外分点がある場合は、その点を原点におくのが定石

 △ABCを座標平面上に設定する。点Dを原点におくと、 t ( > 0 ) を用いて、
  D ( 0 , 0 ) , B ( -2t , 0 ) , C ( t , 0 )
とおける。
 DA = 1 であるから、Aは原点を中心とした半径 1 の円周上にあるので、
  A ( cosθ , sinθ )
とおくことができる。

 いま、AB = 4 , AC = 3 であることから、三平方の定理より、
  ( cosθ + 2t )2 + sin2θ = 16
  ( cosθ – t )2 + sin2θ = 9
となる。これを整理すると
  4t cosθ + 4t2 = 15……①
  -2t cosθ + t2 = 8……②
となり、 ①+②×2 より、
  6t2 = 31
  t = √1866
を得る。よって、
  BC = 3t = √1862

解説

 以下は、複素数平面の問題ではあるが、図形的に解くことも可能である。

複素数平面と鋭角三角形 [2016 東京大・理]
z を複素数とする。複素数平面上の3点 A ( 1 ) , B ( z ) , C ( z2 ) が鋭角三角形をなすような z の範囲を求め、図示せよ。 [2016 東京大・理] イズミの解答への道  複素数平面で問題は与...

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