カルダノの公式で得られる整数解 [2002 大阪教育大(後)]

 \displaystyle \alpha= \sqrt[3]{\sqrt{\frac{28}{27}}+1} - \sqrt[3]{\sqrt{\frac{28}{27}}-1} とする。
(1) 整数を係数とする3次方程式で、αを解に持つものがあることを示せ。
(2) αは整数であることを示せ。また、その整数を答えよ。

[2002 大阪教育大(後)]

イズミの解答への道

 見た目のいかつい式であるが、これが実は整数である、ということを示す問題。設問に沿っていけば答えは得られる。(1)では3次方程式を求めるのだから、まずは3乗してみるしかありません。(2)はその3次方程式から得られる実数解がαしか存在しないことから証明されます。

解答

  \displaystyle p = \sqrt[3]{\sqrt{\frac{28}{27}}+1} , \quad q =\sqrt[3]{\sqrt{\frac{28}{27}}-1}
とおくと、
  α3 = (p-q)3 = p3 – q3 -3pq (p-q)
であり、いま、
  \displaystyle p^3 = \sqrt{\frac{28}{27}}+1 ,\quad q^3 =\sqrt{\frac{28}{27}}-1
より、 p3 – q3 = 2 であり、

\begin{align*} pq &= \sqrt[3]{ \left( \sqrt{\frac{28}{27}}+1 \right) \left( \sqrt{\frac{28}{27}}-1 \right) } \\ &= \sqrt[3]{\frac{28}{27} - 1} \\ &= \sqrt[3]{\frac{1}{27}} = \frac{1}{3} \end{align*}

であることから、

\begin{align*} \alpha^3 &= p^3 - q^3 - 3pq(p-q) \\ &= 2 - 3 \cdot \frac{1}{3} \alpha \\ &= 2 - \alpha \end{align}

が成り立つ。これを整理して、求める方程式は α3 + α -2 = 0 である。

(2) 題意より、与えられた α は実数であり、方程式 x3 + x -2 = 0 の解である。いま、方程式 x3 + x -2 = 0 は、
  ( x – 1 ) ( x2 + x + 2 ) = 0
と因数分解されるが、方程式
  x2 + x + 2 = 0
の判別式
  D = 1 – 4・1・2 < 0 となることより、方程式 x2 + x + 2 = 0 は実数解を持たない。
 以上より、与えられた実数 α は方程式 x3 + x -2 = 0 の解であると結論づけられる。このとき α = 1 である。

解説

カルダノの公式とは

 3次方程式を一般的に解く方法として、カルダノの公式というものがある。この片鱗に触れることのできる問題である。カルダノの公式について、実際に(1)で得た3次方程式を使って紹介していこう。

 まず、恒等式
  ( u + v )3 -3uv ( u + v ) – ( u3 + v3 ) = 0
について、 x = u + v とおく。
 (1)の方程式を考えるときには、
  3uv = -1 , u3 + v3 = 2  …(a)
を満たす u , v を見つけることができれば、その解は x = u + v と表すことができる。
 (a)より、

\[ u^3 v^3 = -\frac{1}{27} , \quad u^3+ v^3 = 2 \]

であるから、解と係数の関係より、 u3 , v3 はそれぞれ、2次方程式

\[ t^2 - 2t - \frac{1}{27} = 0 \]

の解であり、これは解の公式より、

\[ t = \frac{27 \pm \sqrt{27^2 +27}}{27} = 1 \pm \sqrt{\frac{28}{27}} \]

である。 u , v は対称だから、

\[ u^3 = 1 + \sqrt{\frac{28}{27}} , \quad v^3 = 1 - \sqrt{\frac{28}{27}} \]

としても一般性を失わない。
 この結果から、 u , v を求めればよいのだが、ここで注意が必要である。三乗根は複素数までを考えると3つ存在する(たとえば、8の三乗根は 2 , 2ω , 2ω2である)ので、

\[ p = \sqrt[3]{1+\sqrt{\frac{28}{27}}} , \quad q = \sqrt[3]{1-\sqrt{\frac{28}{27}}} \]

とおくと、
  u = p , pω , pω2
  v = q , qω , qω2
となる。このうち、(a)式を満たすように u , v のペアを選ばなければならない。
 このことに気をつけて、求める答えは、
  x = p + q , pω + qω2 , pω2 + qω
となる。

 以上のようにして3次方程式の解を求める方法を、カルダノの解法という。

例題

 2009年の東北大(後)の問題も紹介しておこう。こちらは問題文に「実数の間の等式」とあるところがちょっとしたヒントになっている。

実数の間の等式
  \displaystyle \sqrt[3]{5\sqrt{2}+7} - \sqrt[3]{5\sqrt{2}-7} = 2 ……(*)
を以下の手順に従って示せ。
(1) 係数が整数である x の3次方程式で、

\[ x = \sqrt[3]{5\sqrt{2}+7} - \sqrt[3]{5\sqrt{2}-7} \]

が解になるものを1つ求めよ。
(2) (1)で求めた3次方程式を解くことにより、等式(*)を証明せよ。

[2009 東北大・理(後)]

【解答】
(1) これもやり方は全く同じである。答えは x3 + 3x – 14 = 0 である。
(2) これも同じように因数分解したうち、2次方程式の方からは実数解が得られないことをいえば良い。省略。

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