最大値の最小値 [2015 九州大(後)]

問題

 x , y を 0 以上 1 以下の実数とする。このとき、以下の問いに答えよ。ただし、 a , b , c , d が実数のとき、 max ( a , b ) は a , b のうちの最大の数を表し、 max ( a , b , c , d ) は a , b , c , d のうちの最大の数を表す。
(1) max ( xy , 1 – xy ) の最小値を求めよ。
(2) max ( xy , 1 – xy , x , y ) の最小値を求めよ。

イズミの解答への道

 高校の授業や問題集であまり見ないタイプの問題である。

解答

(1) m = max ( xy , 1 – xy ) とおくと、
  xy ≦ m
  1 – xy ≦ m
であり、辺々足して、
  1 ≦ 2m
より、 \displaystyle m \geqq \frac{1}{2} が成り立つ。
 等号は \displaystyle x = y = \frac{1}{\sqrt{2}} などで成り立つので、 m の最小値は \displaystyle \bm{ \frac{1}{2} } である。

(2) m = max ( xy , 1 – xy , x , y ) とおくと、
  xy ≦ m …①
  1 – xy ≦ m …②
  x ≦ m …③
  y ≦ m …④
が成り立つ。③、④より、
  xy ≦ m2 …⑤
であり、②は
  1 – m ≦ xy …②’
と変形できるので、⑤と②’より、
  1 – m ≦ m2
が成り立つ。これを解いて、 m ≧ 0 より、

    \[ \frac{-1+\sqrt{5}}{2} \leqq m \]

である。
 つぎに等号について考える。まず\displaystyle \alpha = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2} おくと、このとき、
  1 – α = α2 …⑥
を満たす。
 いま、 x = y = α とすると、
  xy = α2 < α   1 - xy = 1 - α2 = α( ⑥を利用)
であるから、 m = α が成り立つ。
 以上より、m の最小値は \displaystyle \bm{ \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}} である。

解説

別解

 冒頭で述べたように、教科書や参考書にないパターンの問題のため、最初の一手が難しいだろう。
 そこで、ここでは上記のような解法が思いつかない場合に、なんとかこの問題を解ききるためにどのような解法があるか、別解として紹介しよう。(応用の効く解き方ではない、ということである。)
 
(2) xy ≦ x , xy ≦ y であるから、等号が成り立たない場合においては、 1 – xy あるいは x , y が max ( 1 – xy , xy , x , y ) の値を決めることになる。以後 m = max ( 1 – xy , xy , x , y ) とおく。
 
 先に等号が成立する場合を考える。
 x = 1 のとき、 y ≦ 1 , xy ≦ 1 , 1 – xy = 1 – y ≦ 1 であるから、 m = 1 である。 y = 1 のときも同様である。
 
 つぎに x ≠ 1 , y ≠ 1 のときを考える。

 xy < x , xy < yであるから、 xy は m には影響しないから、 x または y または 1 – xy が最大値である。

 いま、 x が増加すると 1 – xy は減少することより、 m を最小化するためには、
  x = 1 – xy
が必要である。同様に、 y が増加しても 1 – xy が減少するので、m を最小化するには、
  y = 1 – xy
が必要である。これらを連立すると、
  x = y
より、
  1 – x2 = x
であるから、x \geqq 0 に注意してこれを解いて、 \displaystyle x = y = \frac{-1+\sqrt{5}}{2} となる。
 
 このとき、\displaystyle x = y = 1 - xy = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}であり、 xy は明らかにこの値より小さくなる。
 また、冒頭で確認した x = 1 あるいは y = 1 のときの m の最小値 1 より小さい値である。
 
 以上より、 m の最小値は \displaystyle \bm{ \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}} であることが示された。

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