フェラリによる4次方程式の解法 [2006 筑波大]

 f ( x ) = x4 + 2x2 – 4x + 8 とする。
(1) ( x2 + t )2 – f ( x ) = ( px + q )2 が x の恒等式となるような整数 t , p , q の値を一組求めよ。
(2) (1)で求めた t , p , q の値を用いて方程式 ( x2 + t )2 = ( px + q )2 を解くことにより、方程式 f ( x ) = 0 の解をすべて求めよ。

[2006 筑波大]

イズミの解答への道

 問題を解くだけなら誘導に従うだけでOKです。必ず解けるようにしましょう。この方法を応用すればどんな4次方程式も解くことができます。

解答

(1)
(左辺)= x4 + 2tx2 + t2 – ( x4 + 2x2 – 4x + 8 )
    = 2 ( t – 1 ) x2 +4x + t2 – 8
(右辺)= p2x2 + 2pqx + q2
これらが恒等式となるのだから、
  2 ( t – 1 ) = p2     ……(a)
  4 = 2pq より pq = 2  ……(b)
  t2 – 8 = q2       ……(c)
である。これらを満たす整数の組( t , p , q )を求める。
 (a)より p が偶数であることが分かる(なぜなら、奇数の2乗は奇数となるから)。さらに(b)より、 p = 2 または -2 となる。

(i) p = 2 のとき
 (b)より q = 1 である。さらに(a)より、
  2 ( t – 1 ) = 4
を解いて、
  t = 3
となる。よって、 ( t , p , q ) = ( 3 , 2 , 1 ) である。

(ii) p = -2 のとき
 (b)より q = -1 である。さらに(a)より、
  2 ( t – 1 ) = 4
を解いて、
  t = 3
となる。よって、 ( t , p , q ) = ( 3 , -2 , -1 ) である。

 一組求めるだけなので、どちらでもよい。

(2) ( x2 + 3 )2 – f ( x ) = ( 2x + 1 )2
  f ( x ) = ( x2 + 3 )2 – ( 2x + 1 )2
      = ( x2 + 3 + 2x + 1 ) ( x2 + 3 – 2x – 1 )
      = ( x2 + 2x + 4 ) ( x2 -2x + 2 ) = 0
より、
  \bm{ x=-1 \pm \sqrt{3}i, 1 \pm i}
となる。

解説

フェラリの解法について

 4次方程式は代数的に解くことができる。そこで、その方法をまとめたのがフェラリである。ここではその方法を紹介していこう。

 2次方程式が平方完成できるように、4次方程式は適当な変換によって3次の項をなくした
   x4 + lx2 + mx + n = 0
という形に変形できる。これは3次の項がないから、
   ( x2 + λ)2 – ( px + q )2 = 0
と変形できるはずである。これを利用して4次方程式の解を求める方法を、フェラリの解法という。大学入試でも誘導がついた出題がたまに見られるので以下に紹介しておこう。

類題

次の問いに答えよ。
(1) 等式
  x4 + x2 – 4x – 3 = ( x2 + a )2 – b ( x + c )2
が x についての恒等式であるように実数 a , b , c を定めよ。
(2) 方程式
  x4 + x2 – 4x – 3 = 0
の解を求めよ。

[1999 富山大・理・数]

【解答】
(1) 右辺を展開すると、
  (右辺) = x4 + 2ax2 + a2 – b ( x2 + 2cx + c2 )
       = x4 + ( 2a – b ) x2 – 2bcx + a2 – bc2
が左辺と等しいので、係数を比較して、
  2a – b = 1
  2bc = 4
  a2 – bc2 = -3
を解いて、
  a = 1 , b = 1 , c = 2
となる。

(2) (1)より、
  x4 + x2 – 4x – 3 = 0
の左辺を書き替えて、
   ( x2 + 1 )2 – ( x + 2 )2 = 0
を解けばよい。よって、
   ( x2 + 1 + x + 2 ) ( x2 + 1 – x – 2 ) = 0
   ( x2 + x + 3 ) ( x2 – x – 1 ) = 0
より、

    \[ \bm{x = \frac{-1 \pm \sqrt{11}}{2} , \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2}} \]

n次方程式の解の公式

 2次方程式には解の公式があった。解の公式というのは、足す引く掛ける割る、あるいはルートを取るなどの代数的な処理のみで導き出すことができる解がある、ということである。
 3次方程式にも解の公式が存在し、「カルダノの公式」というものによって代数的に答えを導くことができる。具体的には以下の例題を確認してもらいたい。

カルダノの公式で得られる整数解 [2002 大阪教育大(後)]
α = { ( 28/27 )+1 }^{1/3} - { ( 28/27 ) - 1 )^{1/3} とする。<br /> (1) 整数を係数とする3次方程式で、αを解に持つものがあることを示せ。<br /> (2) αは整数であることを示せ。また、その整数を答えよ。

 4次方程式も今回見たように、フェラリの公式を用いれば代数的に答えを導くことができる。
 では、5次方程式にも解の公式があるのだろうか。この問題に対しては昔からたくさんの数学者が研究を重ね、現代では「5次以上の代数方程式には代数的に解を求める解の公式は存在しない」ことがわかっている。

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