対称式|巧みな式変形を

まずは対称式を使ってみる

 対称式というテーマについて勉強しよう。知らないと損をするレベルで重要なテーマです。
 さっそく例題を見てみよう。

【例題】 x + y = 3 , xy = 1 のとき、次の値を求めよ。
(1) x2 + y2
(2) x3 + y3

 知らないとやたら面倒くさい計算をしなければならない羽目になります。高校1年生で学ぶのですが、この事実を知らなかった僕は、次のように問いていた記憶があります。

【解?】
(1) 文字が2種類あるので、まずは y = 3 – x を xy = 1 に代入して、
  x ( 3 – x ) = 1
  x2 – 3x + 1 = 0
を解いて、

\[ x = \frac{3 \pm \sqrt{9-4}}{2} = \frac{3 \pm \sqrt{5}}{2} \]

となる。
(i) \displaystyle x = \frac{3 + \sqrt{5}}{2} のとき

\[ y = 3 -x = \frac{3 - \sqrt{5}}{2} \]

であるから、

\[ x^2 + y^2 = \frac{9+ 6\sqrt{5}+ 5}{4} + \frac{9 - 6\sqrt{5} + 5}{4} = \frac{28}{4} = 7 \]

(ii) \displaystyle x = \frac{3 - \sqrt{5}}{2} のとき

\[ y = 3 -x = \frac{3 + \sqrt{5}}{2} \]

であるから、

\[ x^2 + y^2 = 7 \]

 以上より、答えは x2 + y2 = 7

 確かに解けるのです。解けるのですが、めちゃくちゃ面倒くさい計算をしなければなりません。
 なにかうまい方法がないか、というのが「対称式」のポイントです。
 うまい方法というのは、なかなか思いつけるものではありません。先に答えを見てしまいましょう。

【ここを覚えよう】
 x2 + y2 = ( x + y )2 – 2xy
 x3 + y3 = ( x + y )3 – 3xy( x + y )

 これを使うと、先程の(1)は、
  x2 + y2
  = ( x + y )2 – 2xy = 32 – 2・1 = 7
とすぐに計算することができます。たったの1行で答えが出せるなんて、さっきの計算はなんだったんだ、という気持ちにさえなりますね。

 さて、ではこの式はどうやって見つかったのか、というと、展開の公式で学んだ、
  ( x + y )2 = x2 + 2xy + y2
  ( x + y )3 = x3 + 3x2y + 3xy2 + y3
を書き換えただけです。式をそのまま覚えるのではなく、どうやって作り出したのかを覚えておいたほうがよいです。1
 最後に、解答をまとめておきましょう。

【解答】
(1)
  x2 + y2
  = ( x + y )2 – 2xy = 32 – 2・1 = 7
(2)
  x3 + y3
  = ( x + y )3 – 3xy( x + y )
  = 33 – 3・1・3 = 18

対称式

 ここで、対称式について少しだけまとめておきましょう。対称式の厳密な定義はちょっとむずかしいので、簡単に言うと、「 x と y を入れ替えても、元の式と同じになるような式」のこと、といえます。たとえば、
  x2 + y2 と y2 + x2
は同じですね。他にも、
  x3 + 3xy + y3 と y3 + 3yx + x2
も同じです。こういう式のことを対称式といいます。

 そして、対称式には、次の重要な定理があります。2

 x + y , xy を基本対称式といい、すべての対称式は基本対称式のみで表される。

 ただし、どのように組み合わせればいいのか、ということはこの定理では言及されません。そこで、対称式を基本対称式で表すためにどのような考え方が必要か、引き続き見ていきましょう。

4次以上はひねくりだす

 次の例題は、4次以上のものを考えてみます。

【例題】 x + y = 3 , xy = 1 のとき、
  x2 + y2 = 7
  x3 + y3 = 18
でした。次の値を求めよ。
(3) x4 + y4
(4) x5 + y5

 3次の x3 + y3 までは、公式から簡単に求められましたが、 x4 + y4 のようになったらどうしたらいいでしょうか?
 4次の ( x + y )4 の展開公式を使ってやってもいいのですが、それよりは、すでに求めている2次や3次の式を使って強引に作り出すほうがよくなります。作り出すというのはどういうことか、以下で説明します。
 x4 + y4 が4次ですから、2次×2次とちょっとの調整でなんとかならないか、と考えます(1次×3次でもよいですよ、あとでやってみましょう)。
 そこで、
  x4 + y4 = ( x2 + y2 )2 – ……
と仮において考えてみます。右を展開したときに、x4 + y4 以外の余計な部分が出てくるので、それを引き算します。横の方でちょっと計算して、余計な部分は、 2x2y2 だと分かるので、
  x4 + y4 = ( x2 + y2 )2 – 2x2y2
とすれば左辺と右辺が一致することがわかります。こうすれば、右辺はすべて値が分かっていますので、
  x4 + y4 = 72 – 2・12 = 47
となります。

 普通の参考書はここまでですが1次×3次でもできるでしょ、と思った人もいると思うので、それをやってみましょう。同じように、
  x4 + y4 = ( x + y ) ( x3 + y3 ) – ……
と仮において、余計な部分は何かと考えると、右辺を展開して出てくる、x4 + y4 以外の部分ですから、
  x4 + y4 = ( x + y ) ( x3 + y3 ) – xy3 – x3y
となりますね。調整の部分は変形すれば、
  x4 + y4 = ( x + y ) ( x3 + y3 ) – xy ( x2 + y2 )
となるので、これも、もう値が分かっている式ばかりにできました。あとは値を代入して、
  x4 + y4 = 3 × 18 – 1・7 = 54 – 7 = 47
となり、先程の計算結果と一致します。違う計算式ですが、求めるものが同じなら答えは一致します。

 5次の場合はどうなるか。ご自身で計算してみてください。

3変数バージョン

 3変数の場合も同じように公式があります。3変数の場合の基本対象式は、
  x + y + z , xy + yz + zx , xyz
の3つになります。よく出てくるのは、
  x2 + y2 + z2 = ( x + y + z )2 – 2 ( xy + yz + zx )
という変形です。これも、展開の公式
  ( x + y + z )2 = x2 + y2 + z2 + 2 ( xy + yz + zx )
を逆に使ったものですね。

  1. 数学ではよくあることですが、式をそのまま覚えるのではなくて、関連付けて覚えていくと、暗記量が減り、理解が深くなります。
  2. ちなみに、定理なのでもちろん証明がありますが、難しすぎるのでここでは省略します。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする