以下の問いに答えよ。
(1) とが無理数であることを示せ。
(2) が全て有理数であるとする。そのとき、 p = q = 0 であることを示せ。
[2015 大阪大・理]
イズミの解答への道
背理法に関する基本的な問題です。これは必ず解けるようにしておきましょう。
解答
(1) 背理法により示す。が有理数であると仮定すると、
(a)
とおくことができる。ただし、 m , n は互いに素な自然数である。(a)式は、
2m2 = n2 …(a)’
と変形すると、左辺は2の倍数なので、 n2 も2の倍数なので n も2の倍数。よって、
n = 2k (kは自然数)
と表せる。これを(a)’に代入すると、
m2 = 2k2
となり、同様に右辺が2の倍数なので m も2の倍数であるが、 m , n は互いに素であることに矛盾。
よって、は無理数である。
次に、が有理数であると仮定すると、
(b)
とおくことができる。ただし、u , t は互いに素な自然数である。(b)式は、
3t3 = u3 …(b)’
と変形すると、左辺は3の倍数なので、 u3 も3の倍数なので、 u も3の倍数。よって、
u = 3l (lは自然数)
と表せる。これを(b)’に代入すると、
t3 = 9l3
となり、ここでtは3の倍数であるが、これは t , u が互いに素であることに矛盾。
よって、は無理数である。
(2) がすべて有理数であるとすると、有理数 r を用いて、
(c)
とおくことができる。
を両辺3乗して、
より、
となる。ここで、 p ≠ 0 ならば、 3r2 + 2p2 > 0 より、
となるが、左辺は無理数、右辺は有理数であるから矛盾。よって、 p = 0 である。
p = 0 のとき、(c)式より、
となり、 q ≠ 0 とすると、となるが、左辺は無理数、右辺は有理数となり矛盾。よって、 q = 0 である。
以上より、 p = q = 0 であることが示された。
解説
背理法とはなにか?
背理法に関しては、過去に次のような問題が出題されている。特徴ある問題で、問題集の計算問題ばかり解いている人は、このような問題で戸惑ってしまったことだろう。
(1) 背理法とは何かを20字以上、100字以内で説明せよ。
(2) が無理数であることを、背理法を用いて証明せよ。
[2002 東京理科大・理・数]
【解答】
(1)
・命題が偽であると仮定して推論し矛盾を導き、命題を偽としたことによって矛盾が生じたことで、命題は真であることを証明する証明法。(63字)
・ p → q を証明するのに、 p かつ とすることで矛盾することを示して、 p → q が真であるとする証明法。(49字)
(2)
が有理数であると仮定すると、互いに素な自然数 a , b を用いて、
とおける。
両辺3乗して、
2b3 = a3
であり、このとき左辺は明らかに偶数より、 a は偶数でなければならず、 a = 2a’ とおける。
すると、
2b3 = 8a’3
より、
b3 = 4a’3
となる。ここで右辺は偶数より、 b も偶数でなければならないが、これは a , b が互いに素であることに反し、矛盾が生じる。
よって、 が有理数であるという仮定が間違っていたことになり、 は無理数であることが背理法により示された。
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