難しい積分計算1 [2002 芝浦工大]

\displaystyle \tan \frac{\theta}{2} = xとおくとき、sinθ, cosθ を x で表すと、
   sinθ =     , cosθ =    
であり、これらを利用すると、
  \displaystyle \int_0^\frac{\pi}{2} \frac{d\theta}{1+\sin \theta + \cos \theta} =    
である。

[2002 芝浦工大]

イズミの解答への道

 誘導通りに計算をしていけば答えは導かれます。とはいっても、 sinθ , cosθ を x で表す部分も、式変形に慣れていないと難しいかもしれません。

解答

 \displaystyle \tan \frac{\theta}{2} = xとおくと、 sinθ の2倍角の定理より、

    \begin{align*} &\sin \theta \\ &= 2 \sin \frac{\theta}{2} \cos \frac{\theta}{2} \end{align*}

ここで、 sinθ = tanθ cosθ より、

    \begin{align*} =2 \tan \frac{\theta}{2} \cos^2 \frac{\theta}{2} \end{align*}

であり、さらに \displaystyle \cos^2 \theta = \frac{1}{1+ \tan^2 \theta} より、

    \begin{align*} =2 \tan \frac{\theta}{2} \cdot \frac{1}{\displaystyle 1 + \tan^2 \frac{\theta}{2}} =\bm{\frac{2x}{1+x^2}} \end{align*}

となる。また cosθ の2倍角の定理より、

    \begin{align*} \cos \theta &= 2 \cos^2 \frac{\theta}{2} - 1 = 2 \cdot \frac{1}{\displaystyle1+ \tan^2 \frac{\theta}{2}} -1 \\ &=\bm{\frac{1-x^2}{1+x^2}} \end{align*}

となる。
 つぎに \displaystyle x = \tan \frac{\theta}{2} より、

    \[ dx = \frac{d\theta}{\displaystyle 2 \cos^2 \frac{\theta}{2}} = \frac{d\theta}{2 \cdot \frac{1}{\displaystyle1+ \tan^2 \frac{\theta}{2}}} = \frac{1+x^2}{2} d\theta \]

であるから、

    \[ d\theta = \frac{2}{1+x^2} dx \]

となる。また、積分範囲は、 \displaystyle \theta : 0 \to \frac{\pi}{2} より、 x : 0 \to 1 なので、与えられた積分は、

    \begin{align*} \int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{d\theta}{1+\sin \theta + \cos \theta} &= \int_0^1 \frac{\displaystyle \frac{2}{1+x^2}}{\displaystyle 1 + \frac{2x}{1+x^2} + \frac{1-x^2}{1+x^2}} dx \\ &=\int_0^1 \frac{2}{1 + x^2 + 2x + 1 -x^2} dx \\ &=\int_0^1 \frac{1}{1+x} dx = [\log (1+x) ]_0^1 \\ &=\bm{\log 2} \end{align*}

となる。

解説

∫ f (sinθ, cosθ) dθ

 この問題から、sinθ、cosθ(もちろん tanθ = sinθ/cosθ が含まれても良い)で構成される関数の積分は、tan θ/2 = x と置き換えれば、 x の関数に帰着できることが分かります。このことは高校の教科書では学ばないので、知らないと難しいでしょう。
 このような積分の常套手段は他にも多数あるので、一通り目を通しておきましょう。

以下は、作成中です



  • \displaystyle \int \frac{1}{a^2 + x^2 } dx
     特殊な積分計算2を参考ください。
  • \displaystyle \int \frac{1}{\sqrt{x^2 +a^2}} dx
     特殊な積分計算3を参考ください。
  • ∫ √(x^2 + a^2) dx
  • ∫ √(a^2 – x^2) dx
  • ∫ ex sin x dx
  • 絶対値の入った積分
  • 漸化式に持ち込む積分
  • さらにアイデアが必要な積分→旧赤チャp.200

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