解と係数の関係|高校数学で一番使うテクニック

解と係数の関係を学ぶ前に

 はじめに例題から見てみよう。

2次方程式 x2 – 5x + 3 = 0 の2つの解の和はいくつか。また積はいくつか。

解答?

 中学生でも解けそうな問題です。やってみましょう。2つの解を、\alpha , \betaとおくと、

    \begin{align*} \alpha &= \frac{-b - \sqrt{b^2-4ac}}{2a} = \frac{5 - \sqrt{25 - 12}}{2} = \frac{5 - \sqrt{13}}{2} \\ \beta  &= \frac{-b + \sqrt{b^2-4ac}}{2a} = \frac{5 + \sqrt{13}}{2} \end{align*}

となるので、和は、

    \[ \frac{5 - \sqrt{13}}{2} + \frac{5 + \sqrt{13}}{2} = \bm{5} \]

であり、積は、

    \[ \frac{5 - \sqrt{13}}{2} \times \frac{5 + \sqrt{13}}{2} = \frac{1}{4} ( 5-\sqrt{13})(5 + \sqrt{13} ) = \frac{1}{4} (25 -13) = \bm{3} \]

となる。

 ちょっと面倒くさいですが、難しいところはないようです。しかし、今回のテーマである「解と係数の関係」という必殺技を使うと、この問題をいともかんたんに解くことができるのです。その必殺技を学んでいきましょう。

解と係数の関係

 さっそく、教科書にある「解と係数の関係」を見てみましょう。

【解と係数の関係】
2次方程式 ax2 + bx + c = 0 の解を \alpha,\beta とすると、

    \[ \alpha + \beta = -\frac{b}{a} , \alpha \beta = \frac{c}{a} \]

である。

 教科書には上のように書いてありますが、これだけでは「だから?」となってしまって、どこがポイントなのかわかりづらいですね。

 ここで言っていることは、「2次方程式の2つの解について、その“和”と“積”であれば、2次方程式を解かなくても、もと2次方程式(の係数)を見ればすぐ分かるよ!」ということなのです。

 そのような見方をして、上の例題を「解と係数の関係」を使って解いてみよう。

2次方程式 x2 – 5x + 3 = 0 の2つの解の和はいくつか。また積はいくつか。

解答

 和は係数 a と b を使います。分子が1次の係数 b 、分母が2次の係数 a 、そしてマイナスを付けます。
  x2 – 5x + 3 = 0
の下線部。いま、2次の係数 a = 1 であるから割ることは考えなくて良いので、
  和 = – (1次の係数) = – (-5) = 5
となります。
 積は係数 a と定数項 c を使います。分子が定数項 c 、分母が2次の係数 a 。先ほどと違ってマイナスは不要です。定数項は、
  x2 – 5x + 3 = 0
の下線部。同じく2次の係数 a = 1 だから、
  積 = (定数項) = 3
となります。

 冒頭では解の公式を使って解を求め、ルートが入った計算をして求めましたが、解と係数の関係を使うと簡単に求めることができました。これが解と係数の関係を使うメリットです。

ちょっと練習してみよう

 例題で少し練習してみよう。

次の2次方程式の2つの解を α , β とするとき、和 α + β と積 αβ を求めよ。
(1) x2 – 6x + 5 = 0  (2) x2 – 2x – 4 = 0
(3) 3x2 – 5x – 9 = 0  (4) 2x2 + 9x + 1 = 0

解答

それぞれ、解と係数の関係より、

(1) \displaystyle \alpha + \beta = - \frac{-6}{1} = \bm{6}, \quad \alpha \beta = \frac{5}{1} = \bm{5}

(2) \displaystyle \alpha + \beta = - \frac{-2}{1} = \bm{2}, \quad \alpha \beta = \frac{-4}{1} = \bm{-4}

(3) \displaystyle \alpha + \beta = - \frac{-5}{3} = \bm{\frac{5}{3}}, \quad \alpha \beta = \frac{-9}{3} = \bm{3}

(4) \displaystyle \alpha + \beta = - \frac{9}{2} = \bm{-\frac{9}{2}}, \quad \alpha \beta = \frac{1}{2} = \bm{\frac{1}{2}}

 学生の方なら、手持ちの参考書に必ず問題が載っているはずなので、同じ問題を探して問いてみて欲しい。

解と係数の関係は対称式と相性がいい

 実は解と係数の関係の問題は、次のような問題で出ることが多い。上の例題でみたような、和 α + β や積 αβ を求めるだけでは簡単すぎるのである。

2次方程式 x2 – 5x + 3 = 0 の解を α , β とするとき、次の値を求めよ。
(1) α + β  (2) α2 + β2
(3) α3 + β3  (4) 1α + 1β

 この問題を解くコツは、対称式の扱いにある。解と係数の関係では、和 α + β や積 αβ の値しか求めることはできないので、与えられたα2 + β2 のような式を、なんとか α + β や αβ で表すことを考えなければならない。これも高校数学必須の技法で「対称式」と呼ばれるものであり、次のページで先に学んでおいてもらいたい。

対称式|巧みな式変形を
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解答

まずは、解と係数の関係より、
  α + β = 5 , αβ = 3
である。

(1) α + β = 5
(2) α2 + β2
   = ( α + β )2 – 2αβ
   = 25 – 6 = 19
(3) α3 + β3
   = ( α + β )3 – 3αβ ( α + β )
   = 125 – 3・3・5 = 80
(4) 1α + 1β
   = α + βαβ = 53

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