自然数 n に対して、関数 fn ( x ) = xn e1-x と、その定積分 を考える。ただし、 e は自然対数の底である。次の問いに答えよ。
(1) 区間 0 ≦ x ≦ 1 上で 0 ≦ fn ( x ) ≦ 1 であることを示し、さらに 0 < an < 1 が成り立つことを示せ。
(2) a1 を求めよ。 n > 1 に対して an と an-1 の間の漸化式を求めよ。
(3) 自然数 n に対して、等式
が成り立つことを証明せよ。
(4) いかなる自然数 n に対しても、 n ! e は整数とならないことを示せ。
[1997 大阪大・理(後)]
イズミの解答への道
誘導どおりに解いていけば、(2)まで詰まることはないでしょう。(2)の漸化式を解いて一般項を求められればよいのですが、これは一筋縄には行きません。しかし、求める式が与えられているので最悪でも“数学的帰納法”でなんとかしましょう。(3)までできれば(4)はもうすぐそこ。
解答
(1) f’n ( x ) = n xn-1 e1-x + xn (-e1-x)
=e1-x xn-1 ( n – x ) ≧ 0
より fn ( x ) は単調増加であり、 fn ( 0 ) = 0 , fn ( 1 ) = 1 であるから、
0 ≦ x ≦ 1 で 0 ≦ fn ( x ) ≦ 1
である。
また、 は、区間 0 ≦ x ≦ 1 における y = fn (x) と x 軸に挟まれた面積であり、
が成り立つので、これより、も示される。
(2) 部分積分より、
であり、
となる。
(3) 数学的帰納法で示す。
(i) n = 1 のとき、
より、 a1 = e – 2 であり、これは(2)の結果と一致する。
(ii) n = k のときに成り立つとする、すなわち、
が成り立つとしたとき、
より、題意の等式は n = k + 1 のときも成り立つ。
以上より、すべての自然数 n について第位の等式が成り立つことが示された。
(4) (3)より、
である。ここで、より、 an は整数ではなく、は整数であるから、 は整数ではないといえる。
解説
eが無理数であることの証明
e が有理数であると仮定すると、( p , q は自然数) と表される。いま、
は整数となるが、(4)の結果に反する。よって背理法により、 e は無理数であることが示された。
eを無限和で表す
(1)の結果と(3)で導かれた等式より、であるから、これを n → ∞ のはさみうちから、
すなわち、
ということができる。これを ex の x = 0 におけるテイラー展開(すなわちマクローリン展開)という。
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