問題
n を自然数とする。 n, n + 2, n + 4 がすべて素数であるのは n = 3 の場合だけであることを示せ。
イズミの解答への道
具体的な手法が思い付かないときは『実験する』が鉄則。今回もそれに則って、本当に n = 3 の場合のみなのかを調べてみよう。
明らかに偶数ではまずいから、奇数のみ調べる。すると、
- n = 5 だと、5 , 7 , 9 → 9 は 3 で割り切れる
- 9 がない 3 つにするためには、次は n = 11 である。
- n = 11 だと、 11 , 13 , 15 → 15 は 3 で割り切れる。
- 同様に次は 17 から始まる 17 , 19 , 21 は 21 がまずい。
- 23 , 25 , 27 では、もちろん 25 も悪いが、 27 はまたまた 3 で割り切れる。
……という実験をしてみると、どうやら、 3 で割り切れる数が常にあることがいけないようであると考えて問題を解いていこう。
解答
n , n + 2 , n + 4 のいずれかは 3 の倍数である。
なぜなら、 n , n + 1 , n + 2 のいずれかは 3 の倍数であり、 n + 1 と n + 4 は 3 で割った余りが等しいからである。
素数で 3 の倍数であるものは 3 のみだから、候補は 1 , 3 , 5 か 3 , 5 , 7 となる。ここで、 1 は素数ではないから、 3 , 5 , 7 でしかない。
つまり、 n = 3 のときだけ、 n, n + 2, n + 4 がすべて素数となる。
研究
素数について
この問題で証明された事実「 3 つ子素数は 3 , 5 , 7 のみである」は非常に有名な性質である。以下の研究では、素数についての興味深い問題、未解決問題をいくつか紹介しよう。
双子素数
双子素数とは、 p , p + 2 がどちらも素数であるような組のことで、小さい方から例を挙げると ( 3 , 5 ) , ( 5 , 7 ) , ( 11 , 13 ) などが上げられる。
「双子素数が無限にあるかどうか」は、未だに解決されていない問題である。
素数砂漠
逆に、素数が連続して現れないところを素数砂漠とでも呼ぼう(この呼び方は、小島寛之著『数学オリンピック問題にみる現代数学』(講談社ブルーバックス)p.21に倣った)。例えば、 114 から 126 の間の 13 個の数はいずれも素数でなく、もう少し大きいところでは、 1130 から 1150 の 21 個の数の間にも素数が現れない。
気になることは、「いくらでも広い素数砂漠は存在するのか?」である。この問題の答えはYES!である。
このことを、実際に好きな長さの素数砂漠を作り出すことで証明してみよう。
例えば k + 1 , k + 2 , … , k + 1000 といった 1000 個の数がすべて素数でない素数砂漠は、次のように作る。
ポイントは 1001! を利用することである。この数は、 1 から 1001 までのすべての数を掛け合わせた数で、言い換えれば 1 から 1001 のいずれの数でも割り切ることできる。すると、例えば、
1001! + 2 は 2 の倍数
1001! + 3 は 3 の倍数
:
1001! + 1001 は 1001 の倍数
となり、1001! + 2 から 1001! + 1001 までの 1000 個の数はいずれも素数でない数となり、連続する1000個の数字が素数でない素数砂漠を作り出すことができた。
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