とする。
(1) 整数を係数とする3次方程式で、αを解に持つものがあることを示せ。
(2) αは整数であることを示せ。また、その整数を答えよ。
[2002 大阪教育大(後)]
イズミの解答への道
見た目のいかつい式であるが、これが実は整数である、ということを示す問題。設問に沿っていけば答えは得られる。(1)では3次方程式を求めるのだから、まずは3乗してみるしかありません。(2)はその3次方程式から得られる実数解がαしか存在しないことから証明されます。
解答
とおくと、
α3 = (p-q)3 = p3 – q3 -3pq (p-q)
であり、いま、
より、 p3 – q3 = 2 であり、
であることから、
が成り立つ。これを整理して、求める方程式は α3 + α -2 = 0 である。
(2) 題意より、与えられた α は実数であり、方程式 x3 + x -2 = 0 の解である。いま、方程式 x3 + x -2 = 0 は、
( x – 1 ) ( x2 + x + 2 ) = 0
と因数分解されるが、方程式
x2 + x + 2 = 0
の判別式
D = 1 – 4・1・2 < 0
となることより、方程式 x2 + x + 2 = 0 は実数解を持たない。
以上より、与えられた実数 α は方程式 x3 + x -2 = 0 の解であると結論づけられる。このとき α = 1 である。
解説
カルダノの公式とは
3次方程式を一般的に解く方法として、カルダノの公式というものがある。この片鱗に触れることのできる問題である。カルダノの公式について、実際に(1)で得た3次方程式を使って紹介していこう。
まず、恒等式
( u + v )3 -3uv ( u + v ) – ( u3 + v3 ) = 0
について、 x = u + v とおく。
(1)の方程式を考えるときには、
3uv = -1 , u3 + v3 = 2 …(a)
を満たす u , v を見つけることができれば、その解は x = u + v と表すことができる。
(a)より、
であるから、解と係数の関係より、 u3 , v3 はそれぞれ、2次方程式
の解であり、これは解の公式より、
である。 u , v は対称だから、
としても一般性を失わない。
この結果から、 u , v を求めればよいのだが、ここで注意が必要である。三乗根は複素数までを考えると3つ存在する(たとえば、8の三乗根は 2 , 2ω , 2ω2である)ので、
とおくと、
u = p , pω , pω2
v = q , qω , qω2
となる。このうち、(a)式を満たすように u , v のペアを選ばなければならない。
このことに気をつけて、求める答えは、
x = p + q , pω + qω2 , pω2 + qω
となる。
以上のようにして3次方程式の解を求める方法を、カルダノの解法という。
例題
2009年の東北大(後)の問題も紹介しておこう。こちらは問題文に「実数の間の等式」とあるところがちょっとしたヒントになっている。
実数の間の等式
……(*)
を以下の手順に従って示せ。
(1) 係数が整数である x の3次方程式で、
が解になるものを1つ求めよ。
(2) (1)で求めた3次方程式を解くことにより、等式(*)を証明せよ。
[2009 東北大・理(後)]
【解答】
(1) これもやり方は全く同じである。答えは x3 + 3x – 14 = 0 である。
(2) これも同じように因数分解したうち、2次方程式の方からは実数解が得られないことをいえば良い。省略。
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