関数方程式(その他) [2015 東北大・理(後)]

-1 < x < 1 の範囲で定義された関数 f ( x ) で、次の2つの条件を満たすものを考える。
  \displaystyle f(x) + f(y) = f \left( \frac{x+y}{1+xy} \right) ( -1 < x < 1 , -1 < y < 1 )
  f ( x ) は x = 0 で微分可能で、そこでの微分係数は 1 である
(1) -1 < x < 1 に対し f ( x ) = – f ( -x ) が成り立つことを示せ。
(2) f ( x ) は -1 < x < 1 の範囲で微分可能であることを示し、導関数 f ‘ ( x ) を求めよ。
(3) f ( x ) を求めよ。

[2015 東北大・理(後)]

イズミの解答への道

 いわゆる関数方程式の問題。関数方程式の解法は、どこに気をつけなければいけないか、ということも含めてある程度決まっているので、過去問を解いて慣れておくことが重要である。

解答

(1)

    \[ f(x) + f(y) = f \left( \frac{x+y}{1+xy} \right) \]

において、 x = y = 0 とおくと、
  2f ( 0 ) = f ( 0 )
より、 f ( 0 ) = 0 である。つぎに、 y = -x を代入すると、
  f ( x ) + f ( -x ) = f( 0 ) = 0
となることより、
  f ( x ) = – f ( -x )
であることが示された。

(2) -1 < x < 1 であるとき、 十分に小さい正の値 h を考えたとき、 x + h についても、 -1 < x + h < 1 である。
 いま、

    \begin{align*} &\frac{f(x+h) - f(x)}{h} \\ &= \frac{f(x+h)+f(-x)}{h} \\ &= \frac{\displaystyle f\left( \frac{h}{1-x(x+h)}\right)}{h} \\ &= \frac{\displaystyle  f\left( \frac{h}{1-x^2+hx}\right)}{\displaystyle \frac{h}{1-x^2+hx}} \cdot \frac{1}{1-x^2+hx} \\ &= \frac{f(h')}{h'} \cdot \frac{1}{1-x^2+hx} \\ &= \frac{f(0+h')-f(0)}{h'} \cdot \frac{1}{1-x^2+hx} \end{align*}

(ただし、\displaystyle \frac{h}{1-x^2+hx} = h'とおいた。)

 いま、 h → 0 のとき、 h’ → 0 であるから、

    \begin{align*} \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(h)}{h} &= \lim_{h \to 0 , h' \to 0} \frac{f(0+h')-f(0)}{h'} \cdot \frac{1}{1-x^2+hx} \\ &= 1 \cdot \frac{1}{1-x^2} = \frac{1}{1-x^2} \end{align*}

である。
 これにより、 f ( x ) は -1 < x < 1 で微分可能であることが示され、 f ‘ ( x ) の値は、

    \[ \bm{f'(x) = \frac{1}{1-x^2}} \]

である。

(3)

    \begin{align*} f(x) &= \int \frac{1}{1-x^2} dx \\ &= \frac{1}{2} \int \left( \frac{1}{1+x} - \frac{1}{1-x} \right) dx \\ &= \frac{1}{2} ( \log|1+x| - \log|1-x| ) + C \\ &= \frac{1}{2} \log \frac{1+x}{1-x} +C \end{align*}

となり、f ( 0 ) = 0 だから、 C = 0 となるので、

    \[ \bm{f(x) = \frac{1}{2}}\bm{ \log} \bm{\frac{1+x}{1-x}} \]

解説

類題

 関数方程式は類題が多いので、受験前にはどれも一度は経験しておくようにしたい。


  • 関数方程式(指数関数) [2009 慈恵医大]?【類】2003杏林大・医
  • 関数方程式(1次関数) [2005 静岡大・理・数]
  • 関数方程式(tanh x) [2007 京都大・理乙]
  • 関数方程式(sinh x , cosh x) [2008 東京医科歯科大]
  • 関数方程式 [1989 東工大]

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