次の問に答えよ。答えだけではなく式・説明など解答の途中の経過を示すこと。
(1) 関数 f ( x ) が x = a で微分可能とはどういうことか、説明せよ。
(2) 「関数 y = f ( x ) が x = a で微分可能である」と「関数 y = f ( x ) が x = a で連続である」とはどのような関係にあるか述べよ。またそれを証明せよ。
(3) ある区間 a < x < b で微分可能な関数 f ( x ) , g ( x ) について、導関数の定義から、関数の積 f ( x ) g ( x ) の導関数を求めよ。
[2007 順天堂大・医]
イズミの解答への道
流行の「定理の証明」です。(1)や(3)はこれまでに他大学において出題されていますが、(2)は目新しい内容です。数学IIIの勉強は、どうしても計算が中心になってしまいがちですが、連続と微分可能性の関係は微積分の重要ポイントですから、是非覚えておきましょう。
解答
(1) 関数 f ( x ) が x = a で微分可能であるとは、極限値 が存在することである。
(2) 関数 y = f ( x ) について、『「 x = a で微分可能である」ならば「 x = a で連続である」(※)』は成立するが、逆(『「 x = a で連続である」ならば「 x = a で微分可能である」(※※)』)は成り立たない。
(※)の証明
f ( x ) が x = a で微分可能であれば、
より、
となり、 x = a で連続であることが示される。
(※※)の証明
反例として f ( x ) = | x | とすると、 x = 0 では連続だが微分可能ではない。実際、
となることから、 f ( x ) は x = 0 で(連続だが)微分可能ではない。
(3)
であり、ここで f ( x ) , g ( x ) は微分可能だったから、
であり、 h → 0 のとき
g ( x + h ) → g ( x )
となるから、
{ f ( x ) g ( x ) }’ = f ‘ ( x ) g ( x ) + f ( x ) g ‘ ( x )
が成り立つ。
解説
類題1
2002年の神戸大・理に同様の出題がある。それを紹介しておこう。
関数 f ( x ) は任意の実数 x に対して定義されているとする。次の問に答えよ。
(1) f ( x ) が x = a において微分可能であることの定義を述べよ。
(2) 次の2つの命題のうち正しい物を選び、それが正しい理由を示せ。
(i) f ( x ) が x = a において連続ならば、必ず、 f ( x ) は x = a において微分可能である。
(ii) f ( x ) が x = a において連続であっても、 f ( x ) は x = a において微分可能であるとは限らない。
(3) 関数 f ( x ) = cos x が x = a において微分可能であることを、(1)で答えた定義を用いて証明せよ。
[2002 神戸大・理]
解答
(1)、(2)は上と同様である。特に、(2)は(ii)が正解であり、理由としては上の反例を上げれば良い。(3)のみ解答を紹介しておこう。
(3) 和積の公式
を用いることで、
より、 f ( x ) = cos x は x = a において微分可能である。
類題2
2015年の神戸大・理(後)でも再び微分可能性に関する出題がある。
以下の問に答えよ。
(1) 関数 f ( x ) が x = a で微分可能であることの定義を述べよ。
(2) 関数 f ( x ) = | x2 – 1 | e-x は x = 1 で微分可能でないことを示せ。
(3) 関数 f ( x ) = | x2 – 1 | e-x の極値と、極値をとるときの x の値を求めよ。
[2015 神戸大・理(後)]
解答
(1)は上の出題と全く同じである。
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