楕円の準円 [2002 東工大]

問題

 楕円 \displaystyle \frac{x^2}{17} + \frac{y^2}{8} = 1 の外部の点 P ( a , b ) からからひいた2本の接線が直交するような点 P の軌跡を求めよ。

イズミの解答への道

 楕円の接線の式を
  y = m ( x – a ) + b  ……?
とおいて、これが楕円と接するように m の条件を求める。ここで m の値は2つ出てくるはずだから、これらを m1 , m2 とすれば、
  m1・m2 = -1
となることが2本の接線が直交する条件。(a)式ではy軸に平行な直線は表せないので、先に場合分けしておく、というところまで頭を回してから解答を書き出します。
 途中の計算で m の4次になりそうなところが出てくるので、投げ出したくなってしまいますが、このパターンの問題ではうまく消えることが分かります。一度やっておけば、次に見たときに「ちゃんと消えるから大丈夫」という安心感を得られます。

解答

(i) a \neq \pm \sqrt{17} のとき
 点 ( a , b ) を通る接線を
  y = m ( x – a ) + b  ……?
とすると、これと楕円
  8x2 + 17y2 = 136  ……?
が接するためには、?式に?式を代入した x に関する2次方程式が重解をもてばよい。
  8x2 + 17 { m ( x – a ) + b }2 = 136
  ( 17m + 8 ) x2 + 34m ( b – ma ) x + 17 { ( b – ma )2 – 8 } = 0
の判別式 D = 0 を解いて、
  D/4 = 172m2 ( b – ma )2 – 17 ( 17m2 + 8 ) { ( b – ma )2 – 8 } = 0
      17m2 ( b – ma )2 – ( 17m2 + 8 ) { ( b – ma )2 – 8 } = 0
ここで、 ( b – ma )2 = t とおけば、
      17m2 t – ( 17m2 + 8 ) ( t – 8 ) = 0
      17・8m2 – 8 ( t – 8 ) = 0
すなわち、
    17・m2 – ( b – ma )2 – 8 = 0
    ( 17 – a2 ) m2 + 2ab m + 8 – b2 = 0
である。これの解を m1 , m2 とすると、
   m1・m2 = -1
を満たせばよく、解と係数の関係より、
  \displaystyle \frac{8-b^2}{17-a^2} = -1
すなわち
  a2 + b2 = 25  ……?

(ii) a = \pm \sqrt{17}のとき
 b = \pm 2\sqrt{2}(複合任意)であり、これは?を満たす。

 以上より、点Pの軌跡は、 円 x2 + y2 = 25 となる。

解説

楕円の準円

 楕円、双曲線について、直交する2本の接線の交点の軌跡は円となることが示される。この軌跡が描く円を準円という。
 楕円の場合はいま示したとおりで、一般化した楕円

    \[ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} =1 \]

に対しても同様の方法で示すことができ、その準円は
  x2 + y2 = a2 + b2
となる。

双曲線の準円

 双曲線の場合は、次の例題で示すが、一般に a > b > 0

    \[ \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} =1 \]

の準円は、
  x2 + y2 = a2 – b2
となる。ただし、このうち漸近線上の4点は除かれる。

双曲線 C : \displaystyle x^2 - \frac{y^2}{4} = -1 について次の問いに答えよ。
(1) Cの漸近線の方程式を記せ。
(2) m を任意の実数として、直線 y = mx が曲線Cに接していないことを示せ。
(3) 点A ( \sqrt{3} , 0 ) を通るCの接線の方程式をすべて求めよ。
(4) C上にない点P ( p , q ) を通るCの接線がちょうど2本あって、2本の接線が直交するとき、 p , q がみたすべき条件を求めよ。

[2009 同志社大・2/4理系]

【解答】
(1) 定義より y = ±2x
(2) y = mx をCの式に代入して整理すると、
   ( m2 – 4 ) x2 = 4
となるが、この方程式の解は重解にはなりえない。よって直線 y = mx は曲線Cに接しない。
(3) C上の点 ( s , t) における接線は、
   4sx – ty = -4
これが (\sqrt{3},0) を通るから、
  \sqrt{3}s = -1  ……?
を満たす。一方、 s , t は双曲線C上にあるから、
  4s2 – t2 = -4  ……?
であるから、?と?を連立して、

    \[ s = -\frac{1}{\sqrt{3}} , \quad t=\pm \frac{4}{\sqrt{3}} \]

となるので、求める接線の方程式は、

    \[ \bm{ x \pm y = \sqrt{3}} \]

である。
(4) y軸に垂直なCの接線は存在しないので、Pを通るCの接線は、
   y = k ( x – p ) + q
とおける。この直線がCと接することから、Cの式に代入したときに得られる x の方程式が重解をもてばよい。
   4x2 – { k ( x – p ) + q }2 = -4
   4x2 – { k2 ( x – p )2 + 2kq ( x – p ) + q2 } = -4
   4x2 – k2 ( x – p )2 – 2kq ( x – p ) – q2 + 4 = 0
   ( 4 – k2 ) x2 + 2k ( kp – q ) x – p2k2 + 2pqk – q2 + 4 = 0
の判別式を D とすると、
   D/4 = k2 ( kp – q )2 + ( 4 – k2 ) ( p2k2 – 2pqk + q2 – 4 ) = 0
       k2 ( kp – q )2 + ( 4 – k2 ) { ( kp – q )2 – 4 } = 0
       4k2 + 4 { ( kp – q )2 – 4 } = 0
       ( p2 + 1 ) k2 – 2pqk + q2 – 4 = 0
となる。この k についての方程式の2つの解を k1 , k2 とすると、接線が直交するという条件より、
  k1 ・ k2 = -1
を満たす必要があり、これは解と係数の関係より、

    \[ \frac{q^2-4}{p^2+1} = -1 \]

すなわち、
  p2 + q2 = 3  ……?
となる。

※「満たすべき条件を求めよ」といわれたら、ここまでを解としてよい。一般に「軌跡を求めよ」と問われた場合には、(c)上の点すべてを取り得るかを調べる必要がある。そこで、軌跡を求めよと問われた場合の続きを示しておく。

 ここで、((2)からも分かることだが、)(1)で求めた漸近線は明らかにCの接線とはならないので、?式のうち、 y = ±2x 上の点を省かなければならない。すなわち、求める軌跡は、
   円 p2 + q2 = 3 ただし、 q = ±2p を満たす点を除く
となる。

放物線の場合

 x2 = 4py に直交する2本の接線を引くと、この交点の軌跡は、直線 y = -p となり、これは教科書にある通り、放物線の準線である。

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