問題
楕円 の外部の点 P ( a , b ) からからひいた2本の接線が直交するような点 P の軌跡を求めよ。
イズミの解答への道
楕円の接線の式を
y = m ( x – a ) + b ……?
とおいて、これが楕円と接するように m の条件を求める。ここで m の値は2つ出てくるはずだから、これらを m1 , m2 とすれば、
m1・m2 = -1
となることが2本の接線が直交する条件。(a)式ではy軸に平行な直線は表せないので、先に場合分けしておく、というところまで頭を回してから解答を書き出します。
途中の計算で m の4次になりそうなところが出てくるので、投げ出したくなってしまいますが、このパターンの問題ではうまく消えることが分かります。一度やっておけば、次に見たときに「ちゃんと消えるから大丈夫」という安心感を得られます。
解答
(i) のとき
点 ( a , b ) を通る接線を
y = m ( x – a ) + b ……?
とすると、これと楕円
8x2 + 17y2 = 136 ……?
が接するためには、?式に?式を代入した x に関する2次方程式が重解をもてばよい。
8x2 + 17 { m ( x – a ) + b }2 = 136
( 17m + 8 ) x2 + 34m ( b – ma ) x + 17 { ( b – ma )2 – 8 } = 0
の判別式 D = 0 を解いて、
D/4 = 172m2 ( b – ma )2 – 17 ( 17m2 + 8 ) { ( b – ma )2 – 8 } = 0
17m2 ( b – ma )2 – ( 17m2 + 8 ) { ( b – ma )2 – 8 } = 0
ここで、 ( b – ma )2 = t とおけば、
17m2 t – ( 17m2 + 8 ) ( t – 8 ) = 0
17・8m2 – 8 ( t – 8 ) = 0
すなわち、
17・m2 – ( b – ma )2 – 8 = 0
( 17 – a2 ) m2 + 2ab m + 8 – b2 = 0
である。これの解を m1 , m2 とすると、
m1・m2 = -1
を満たせばよく、解と係数の関係より、
すなわち
a2 + b2 = 25 ……?
(ii) のとき
(複合任意)であり、これは?を満たす。
以上より、点Pの軌跡は、 円 x2 + y2 = 25 となる。
解説
楕円の準円
楕円、双曲線について、直交する2本の接線の交点の軌跡は円となることが示される。この軌跡が描く円を準円という。
楕円の場合はいま示したとおりで、一般化した楕円
に対しても同様の方法で示すことができ、その準円は
x2 + y2 = a2 + b2
となる。
双曲線の準円
双曲線の場合は、次の例題で示すが、一般に a > b > 0
の準円は、
x2 + y2 = a2 – b2
となる。ただし、このうち漸近線上の4点は除かれる。
双曲線 C : について次の問いに答えよ。
(1) Cの漸近線の方程式を記せ。
(2) m を任意の実数として、直線 y = mx が曲線Cに接していないことを示せ。
(3) 点A を通るCの接線の方程式をすべて求めよ。
(4) C上にない点P ( p , q ) を通るCの接線がちょうど2本あって、2本の接線が直交するとき、 p , q がみたすべき条件を求めよ。
[2009 同志社大・2/4理系]
【解答】
(1) 定義より y = ±2x
(2) y = mx をCの式に代入して整理すると、
( m2 – 4 ) x2 = 4
となるが、この方程式の解は重解にはなりえない。よって直線 y = mx は曲線Cに接しない。
(3) C上の点 ( s , t) における接線は、
4sx – ty = -4
これが を通るから、
……?
を満たす。一方、 s , t は双曲線C上にあるから、
4s2 – t2 = -4 ……?
であるから、?と?を連立して、
となるので、求める接線の方程式は、
である。
(4) y軸に垂直なCの接線は存在しないので、Pを通るCの接線は、
y = k ( x – p ) + q
とおける。この直線がCと接することから、Cの式に代入したときに得られる x の方程式が重解をもてばよい。
4x2 – { k ( x – p ) + q }2 = -4
4x2 – { k2 ( x – p )2 + 2kq ( x – p ) + q2 } = -4
4x2 – k2 ( x – p )2 – 2kq ( x – p ) – q2 + 4 = 0
( 4 – k2 ) x2 + 2k ( kp – q ) x – p2k2 + 2pqk – q2 + 4 = 0
の判別式を D とすると、
D/4 = k2 ( kp – q )2 + ( 4 – k2 ) ( p2k2 – 2pqk + q2 – 4 ) = 0
k2 ( kp – q )2 + ( 4 – k2 ) { ( kp – q )2 – 4 } = 0
4k2 + 4 { ( kp – q )2 – 4 } = 0
( p2 + 1 ) k2 – 2pqk + q2 – 4 = 0
となる。この k についての方程式の2つの解を k1 , k2 とすると、接線が直交するという条件より、
k1 ・ k2 = -1
を満たす必要があり、これは解と係数の関係より、
すなわち、
p2 + q2 = 3 ……?
となる。
※「満たすべき条件を求めよ」といわれたら、ここまでを解としてよい。一般に「軌跡を求めよ」と問われた場合には、(c)上の点すべてを取り得るかを調べる必要がある。そこで、軌跡を求めよと問われた場合の続きを示しておく。
ここで、((2)からも分かることだが、)(1)で求めた漸近線は明らかにCの接線とはならないので、?式のうち、 y = ±2x 上の点を省かなければならない。すなわち、求める軌跡は、
円 p2 + q2 = 3 ただし、 q = ±2p を満たす点を除く
となる。
放物線の場合
x2 = 4py に直交する2本の接線を引くと、この交点の軌跡は、直線 y = -p となり、これは教科書にある通り、放物線の準線である。
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