問題
次の問いに答えよ。
(1) 剰余の定理を記せ。
(2) 剰余の定理を証明せよ。
(3) 整式 f ( x ) について剰余の定理を使い次のことが成立することを示せ。
整式 f ( x ) において a が方程式 f ( x ) = 0 の解であるならば f ( x ) は x – a で割り切れる。
(4) 整式 f ( x ) において f ( a ) = f ‘ ( a ) = 0 ならば f ( x ) は ( x – a )2 で割り切れることを示せ。
イズミの解答への道
剰余の定理とその応用として受験でもよく見られる命題に関する出題。(3)までは受験で常識として用いている知識ですが、(4)の命題も実は重要です。
(4)で、微分して f ‘ ( x ) を引き合いに出すところはちょっと難しい。演習問題慣れしているかどうかがキーポイントになるでしょう。
解答
(1) 「整式 f ( x ) を x – a で割った余りは f ( a ) である。」
(2) 整式 f ( x ) を x – a で割ったときの商を g ( x ) 、余りを R とおくと、
f ( x ) = ( x – a ) g ( x ) + R
とおける。ここに x = a を代入すると、
f ( a ) = 0・g ( a ) + R = R
より、余り R = f ( a ) となり示された。
(3) a が f ( x ) = 0 の解であるから、
f ( a ) = 0 …(a)
が成り立つ。いま、f ( x ) を x – a で割ったときの商を h ( x ) 、余りを S とおくと、
f ( x ) = ( x – a ) h ( x ) + S
に x = a を代入して、 f ( a ) = S となり、(a)式より S = 0 となる。すなわち、a が方程式 f ( x ) = 0 の解ならば、f ( x ) は x – a で割り切れることが示された。
(4) いま、 f ( x ) を ( x – a )2 で割ったときの商を i ( x ) 、余りを px + q とおくと、
f ( x ) = ( x – a )2 i ( x ) + px + q …(b)
が成り立つ。これに x = a を代入して、 f ( a ) = 0 であることより、
f ( a ) = pa + q = 0 …(c)
が成り立つ。次に、(b)の両辺を x で微分して、
f ‘ ( x ) = 2 ( x – a ) i ( x ) + ( x – a )2 i ‘ ( x ) + p
が成り立つ。ここに x = a を代入して、 f ‘ ( a ) = 0 であることより、
f ‘ ( a ) = p = 0 …(d)
が成り立ち、 (b)、(d)より p = q = 0 が導かれる。すなわち、余り px + q は 0 であることが示されたので、 f ( x ) は ( x – a )2 で割り切れることが示された。
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