a, b は a ≧ b > 0 を満たす整数とし、 x と y の2次方程式
x2 + ax + b = 0, y2 + by + a = 0
がそれぞれ整数解をもつとする。
(1) a = b とするとき、条件を満たす整数 a をすべて求めよ。
(2) a > b とするとき、条件を満たす整数の組 ( a, b ) をすべて求めよ。
[2011 名古屋大・理]
イズミの解答への道
問題はシンプルなのですが、αとβの関係と a と b の関係がごちゃごちゃになってきます。地道に着実に各変数の範囲を狭めていくしかありません。オーバーヒートしてしまいそうですが、頭の体操にはよい問題です。
解答
(1) x2 + ax + a = 0 の解を α , β (α≦β)とすると、解と係数の関係より、
α + β = -a < 0 …(a)
αβ = a > 0 …(b)
が成り立つ。(b)式よりαとβの符号は等しく、(a)式よりそれは負であることが分かる。よって、
α ≦ β < 0 …(c) br>
が成り立つ。 br>
さらに、(a)式、(b)式より、 br>
αβ = – (α + β) br>
αβ + α + β = 0
( α + 1 ) ( β + 1 ) = 1
となる。α , β は整数であることから、これを満たすα,βは、
( α + 1 , β + 1 ) = ( 1, 1 ) , ( -1 , -1 )
すなわち、
( α , β ) = ( 0 , 0 ) , ( -2 , -2 )
となる。うち(c)式を満たすのは、
( α , β ) = ( -2 , -2 )
であり、このとき a = αβ = 4 である。
(2) x2 + ax + b = 0 の解を α , β (α ≦ β)とすると、解と係数の関係より、
α + β = -a < 0 …(d)
αβ = b > 0 …(e)
が成り立つ。(1)と同様の理由から、
α ≦ β < 0
であり、βは 0 未満の整数だから、 β≦ -1 である。よって、
α + 1 ≦ β + 1 ≦ 0 …(f)
である。さらに、 0 < b < a であるから、
αβ < – ( α + β )
( α + 1 ) ( β + 1 ) < 1
であり、(f)式より左辺は両方負であるから、その積は正であるから、
0 ≦ ( α + 1 ) ( β + 1 ) < 1
が成り立つ。
ここで、α , βは整数であるから、
( α + 1 ) ( β + 1 ) = 0
でしかありえない。すなわち、
α+ 1 = 0 あるいは β + 1 = 0
であるが、 (f)式より、
β + 1 = 0
すなわち
β = -1
であることが分かる。(d)式、(e)式に代入して、
b = -α , a = -α + 1
である。
つぎに、y2 – αy + 1 – α = 0 の解を γ , δ (γ ≦ δ)とすると、解と係数の関係より、
γ + δ = α < 0 …(g) (なぜなら、α≦β < 0 であった。)
γδ = 1 - α …(h)
であり、辺々足して、
γδ + γ + δ = 1
( γ + 1 ) ( δ + 1 ) = 2
であり、 γ≦δより、
( γ + 1 , δ + 1 ) = ( -2 , -1 ) , ( 1 , 2 )
すなわち
( γ , δ ) = ( -3 , -2 ) , ( 0 , 1 )
であり、(g)式より γ + δ < 0 を満たすのは
( γ , δ ) = ( -3 , -2 )
である。このとき、
α = γ + δ = -5
だから、
a = -α + 1 = 6 , b = -α = 5
である。
研究
類題
同じように、次の問題も似たような関係式から地道に範囲を絞って解にたどり着くしかありません。こちらもかなりの難問です。
x の2次方程式 x2 – mnx + m + n = 0 (ただし、 m , n は自然数)で2つの解がともに整数となるものは、 個ある
[2007 早稲田大・人間科学A]
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