無限降下法 [2005 首都大学東京(後)]

 2 以上の自然数 n に対して方程式
  (*) xn + 2yn = 4zn
を考える。次の問いに答えよ。
(1) n = 2 のとき、(*)を満たす自然数 x , y , z の例を与えよ。
(2) n ≧ 3 のとき、(*)を満たす自然数 x , y , z が存在しないことを示せ。

[2005 首都大学東京(後)]

イズミの解答への道

 (1)は例を与えるだけなので、不定方程式と考えてもよい。問題は(2)である。
 パッと思い付かない人も多いだろうが、「存在しないこと」の証明といえば、背理法(あることを仮定して矛盾を導く)が有名です。まず、「存在する」と仮定して話を進め、矛盾を示すわけですね。

解答

(1) 2y2 = ( 2z + x ) ( 2z – x ) と因数分解されるので、2y = 2z + x, y = 2z – x となるような x , y , z のペアを見つければよい。
 それは例えば、 x = 2 , y = 4 , z = 3 など。
 
(2) ( x , y , z ) が与えられた式(*)を満たすと仮定すると、
  xn + 2yn = 4zn ……(ア)
が成り立つ。(ア)において、 2yn と 4zn は明らかに偶数だから、xnは偶数となる。
 このとき、 x も偶数であるから x = 2x’ とおける( x’ は整数)。
 
 これを(ア)に代入して、
  2nx’n + 2yn = 4zn
となり、これを両辺 2 で割って、
  2n-1x’n + yn = 2zn ……(イ)
となる。
 
 このとき、先ほどと同様、 yn が偶数で無ければならないので、 y = 2y’ とおける( y’ は整数)。これを(イ)に代入して、
  2n-1x’n + 2ny’n = 2zn
となり、両辺 2 で割って、
  2n-2x’n + 2n-1y’n = zn ……(ウ)
であるから、同様に zn が偶数であることが必要なので z = 2z’ とおいて(ウ)に代入( z’ は整数)すると、
  2n-2x’n + 2n-1y’n = 2nz’n
となり、この両辺を 2-n+2 倍すると、
  x’n + 2y’n = 4z’n
となる。

 これより、 ( x’ , y’ , z’ ) も式(ア)を満たすことになる。
 つまり、整数の組 ( x , y , z ) が(ア)の解なら、 \displaystyle \left( \frac{x}{2} , \frac{y}{2} , \frac{z}{2} \right) も(ア)の整数解ということである。
 
 これを繰り返すと、任意の自然数 k に対して、 \displaystyle \left( \frac{x}{2^k} , \frac{y}{2^k} , \frac{z}{2^k} \right) も(ア)を満たす整数の組となるが、 k を大きくすると x/2k は整数でなくなってしまうため、元の仮定が間違っていたことになる。
 
 よって、このような整数の組は、 ( x , y , z ) = ( 0 , 0 , 0 ) しかない。(証明終わり)

解説

同じ問題

 まったく同じ問題が、2000年の千葉大で出題されている。

n が3以上の整数のとき、
  xn + 2yn = 4zn
を満たす整数 x, y, z は x = y = z = 0 以外に存在しないことを証明せよ。

[2000 千葉大]

無限降下法

 このように、ある仮定した解 x から、次々と小さい解を得られることから矛盾を導き命題を否定する証明法を、無限降下法という。
 たとえば 「 √2 が無理数であること」は、教科書や参考書では、はじめに n0 と m0 が互いに素であると仮定しておき、 n0 と m0 がどちらも偶数であるから仮定に反する、と矛盾を導き証明を終わる(背理法)。
 しかし、実は無限降下法を用いて次のように証明することができる。

無限降下法の類題

 次の問題は、“次々と大きな解”が得られるというところから、解が無限にあることを示す問題である。無限降下法と似た発想である。

次の条件を満たす組 ( x , y , z ) を考える。
  条件(A): x , y , z は正の整数で、 x2 + y2 + z2 = xyz および x ≦ y ≦ z を満たす。
(1) 条件(A)を満たす組 ( x , y , z ) で、 y ≦ 3 となるものをすべて求めよ。
(2) 組 ( a , b , c ) が条件(A)を満たすとする。このとき、組 ( b , c , z ) が条件(A)を満たすような z が存在することを示せ。
(3) 条件(A)を満たす組 ( x , y , z ) は、無数に存在することを示せ。

[2006 東京大・理]

【解答】
(1) y = 1 とすると、 x = 1 は明らかなので、
   12 + 12 + z2 = z
を満たす必要があるが、これを満たす正の整数 z は存在しない。
  y = 2 とすると、 x = 1 あるいは x = 2 であるため、
   12 + 22 + z2 = 2z あるいは 22 + 22 + z2 = 4z
を満たす必要があるが、これを満たす正の整数 z は存在しない。
  y = 3 とすると、x = 1 , 2 , 3 である。
   12 + 32 + z2 = 3z あるいは 22 + 32 + z2 = 6z
を満たす正の整数 z は存在しない。
   32 + 32 + z2 = 9z
   z2 – 3z +18 = 0
   ( z – 3 ) ( z – 6 ) = 0
より、 z = 3 , 6 より、題意を満たす組は、 ( x , y , z ) = ( 3 , 3 , 3 ) , ( 3 , 3 , 6 ) である。
 
(2) a , b , c は a2 + b2 + c2 = abc ( a≦b≦c )を満たすとする。
 b2 + c2 + z2 = bcz を満たす z は、これを z に関する2次方程式と見て、
   z2 – bcz + b2 + c2 = 0
より、
  \displaystyle z = \frac{bc \pm \sqrt{b^2c^2 - 4(b^2+c^2)}}{2}
となる。ここで、ルートの中身は、
   b2c2 – 4 ( b2 + c2 )
   = b2c2 – 4 ( abc – a2 )   (← a2 + b2 + c2 = abc を用いた。)
   = 4a2 – 4abc + b2c2
   = ( 2a – bc )2
と変形できることより、
  \displaystyle z = \frac{bc \pm ( 2a -bc)}{2} = a , bc - a
である。

 次に、 bc – a ≧ c であることを示す。(1)より、b ≧ 3 であるから、
   bc ≧ 3c > c + c ≧ a + c    ( b は正、 a < c より)
より、 bc – a ≧ c であることが示される。

 よって、 ( a , b , c ) が条件(A)を満たすとき、 ( b , c , b ) (これは b = c のときのみ利用できる)、あるいは ( b , c , bc – a ) が条件(A)を満たす。

 
(3) (2)の ( b , c , bc – a ) は b , c の値によらず条件(A)を満たし、かつ c ≦ bc – a であるから、
( a , b , c ) とは異なり、かつ再び同じ組に戻ることはない(なぜなら、(2)で c の値は次々大きくなることが示されているから)。
 よって条件(A)を満たす組は無数に存在することが示された。

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