「砂漠」(単行本)/伊坂幸太郎

 本当は順番的には「魔王」が先なんだけど、ここにきて図書館にあった順に読んでしまったのでコチラが先になってしまいました。魔王は予約中なり。

 これまでで一番、伊坂幸太郎節が炸裂している作品のように思います。法律や世間の常識に立ち向かう作品。作中の人物が、っていうよりは伊坂幸太郎が、ね。いつも伊坂幸太郎は、現代社会への疑問の投げ掛けや、提言をしているように思う。

 強烈な個性の持ち主である西嶋が、痛い。出る杭は打たれるんだけど、どこ吹く風。常に自分を持っているというのはこういうことなのか。実際の世の中でこんな奴はなかなか見かけないけど、それはそういう人生は生き難いからなんだよね。でも、西嶋の主張は間違っていない。むしろ直接的、論理的で明確だ。だけどそれは世の中では通じない。

 考えさせられるエピソードがいくつかある。保護された犬のエピソードはその象徴。誰も西嶋のようには考えないけどさ、どんなときも平等にできる人間なんていない。だから、そのときそのときの直感を信じるのもいいんじゃないだろうか。

 とにかくどのキャラクターも生き生きしてて清々しい。まさに青春のようにも感じた。その美しさが一番の魅力。

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