トースター

 パンを焼く機械といえばトースター。朝はパン派だった我が家、子供の頃からトースターにパンを入れてつまみをひねるのが習慣になっていた。最近では電子レンジにオーブントースター機能が付いていて、普通のトースターを使う機会も減ってきているのかもしれない。

 チン!と心地よい音と共にパンが焼き上がる。たまにそのまま放っておくと、焦げ焦げになったパンと遭遇して残念な気持ちになることもある。「焦げは癌の元」なんていいながらトーストの表面をちょっと削ったりして。でも、ちょっとだけその“お焦げ”がおいしく感じたりもする。

 レンジになってしまうとツマミはもうなくなってしまうんだけど、昔ながらのツマミには、面白いことが書いてある。「5分以内の場合には、6分以上までひねってから戻してください」みたいなことが大抵書いてある。子供の頃から親しむあの不思議なしきたり。でも、あれって実は勉強になるんじゃないかな。
 実を言うと僕にもちゃんとした理由はよく分からない。ネットで検索してみたけど確かな情報は得られなかった。生活に密着したどうでもいい情報は意外とネットに載らない傾向があるみたいだ。
 それはさておき、つまみを少し行き過ぎたところにしてちょっと戻す、っていうのはああいうツマミを扱うときには当然のことで、ギアの噛み具合を調整するのに必要なことだ。アナログの腕時計を合わせるときも、最後は時計の針が進む向きに動かして終える、なんてことしますよね。5分以内という微調整にはこの指示通りの操作が欠かせないのだろう。
 そんなことを子供心に勉強させるトースター、あれは偉大だ。電子レンジにとってかわられないように保護しないと。

 今日はそんなことを考えていた。同じように実験中に機械のツマミをひねりながら。

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