「赤緑黒白」/森博嗣

 Vシリーズ最終巻。いよいよここまできた、という感じだ。S&MとVシリーズの解決編!

 これまでVシリーズについては、結構ひどい感想を書いてました。「惰性で読んでいる感じ」だとか「シンプルすぎる」とか。
 ごめん、全部俺が悪かった!
 S&Mシリーズのときから、森博嗣作品については「犯人当てなんかどうでもいい。大事なのは全体のストーリーに仕掛けられたもっと大きな仕掛けだ」と書いてきた。そして、このVシリーズも例外じゃなかった。
 ――ネット上の情報ってすごいなぁ(汗

 S&MとVの時代関係に関するトリックは、「捩れ屋敷の利鈍」のときに紹介したとおり。これ以外で携帯が登場しないというのには、ちゃんとした理由があるわけです。
 同時にへっくんについての謎があったわけだが、そうすると苗字に関する謎があったわけです。その点について、本書の最後で述べられているのである。
 ええ、なんで? と思い返すと第1巻で「名前は林」としか紹介されていない。名前が林ですか、苗字は!!
 Vシリーズの登場人物全員名前が変、という設定は林にも適応されるわけで、逆に言うと「林だけ平凡な名前」というのがポイントだったのかなぁ(汗

 さて、こうやって犀川の視点を通じてS&MとVを読み返すと、シリーズを通して設定が緻密に設定されたものだということも見えてくる。犀川の妹が儀堂世津子というあたりまで含めて。

 あと、これもネット上にあったけど、S&MシリーズとVシリーズは、それぞれの巻に共通点を持つ仕掛けが仕掛けられている。こじつけのように見えるが、著者が意図せずして偶然起こることでもなかろう。

 あとは、真賀田四季がどのように関係するかがポイントである。S&MとVをつなぐのは、犀川と四季。そのうち四季についてはほとんど触れられていない。となると、自然と次の四季シリーズに期待がかかるわけです。

 うわー、これまでの20巻を読み返したいけどそんな時間がない!(涙

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