噂の又吉さんの受賞作品。
普通な自分と、その自分から見ると若干奇抜なもう一人の漫才師。
自分にはないものを持っている人のことをうらやましく、かっこよく思う心理と、
同時に、そうなることはできないとどこかで分かっている主人公が、
結局平凡な生き方をするしかないと思う心理がある。
そのもう一人(神谷)は、破天荒でありながら、ときどき真理を突いたようなセリフを言う。
そこが実は又吉さんの視線なのかな、とも思う。
その神谷は最後まで「変人」なのかというと、
最後の漫才でその部分をきちんと漫才の形で昇華していて、
ほとんどの人はそこがきちんと盛り上がってよかった、という感想のようだけど、
もちろんそこも一つの重要なポイントだけど、
たぶん他にも、漫才師の葛藤や、自分とはなにか、らしさとは何か、とか考えながら生きている、
そういう部分に触れているのがこの作品の醍醐味なのかな、とふと思いました。