「逝ってしまった君へ」/あさのますみ

声優、絵本作家として活躍されているあさのますみさんの作品。

鬱で大事な友人をなくしたときの感情を、手紙という形に乗せて言葉に紡いでいます。

あさのさんの「君」への人としての尊敬の念があって、
そんな「君」がなんでという気持ち、思い出がどんどん勝手に書き換えられていくという怖さ、それらすべてのいろいろな感情を、
忘れないように、なんとか言葉にしておこうとした言葉たちが、臨場感を持って読者を包み込みます。読書体験なのに、自分が友人を亡くしたかのような気持ちになりました。

ここからは余談ですが、20年前ぐらいにラジオ番組で知った方で、当初はおもしろいラジオをやる方だなあ、というぐらいの印象でしたが、
昔書かれていたブログ(残念ながら、今は削除されてしまっています)での文章が、言葉で表せないほど上手で素敵で、それ以来あさのますみさんの文章が気に入っています。

今回の臨場感も、彼女特有の文章のセンスがあるからこそなのだと思いまして。今後もいろいろな場面でエッセイなどを書いてもらえたらいいのになあ、と思っているのでした。

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