「SOSの猿」/伊坂幸太郎

あれ、と思った。
前作「あるキング」はともかく、今作は分量からいっても本気の作品だとは思ったんだけど、その割にはこれまでのワクワク感を感じなかった。

しかし、ちょっと振り返ってみると過渡期のような位置づけなのかもしれないと思うようになった。
「ゴールデンスランバー」や「モダンタイムス」あたりは、
政治や法律を含めたマクロな社会を舞台に書いていたように思ったんだよね。
「大事なものは(世間の)イメージだ!」というのは、まさに現代の日本を象徴している。
一言で言えば、国民はマスコミや社会が作った潮流通りに流されている、といった感じ。

今回は、引きこもりの少年も出てくるし、問題が起こっているのは個々の人間。
これまでの作品と違ってミクロな社会を舞台にしているのです。
そう捉ええなおすと、この作品は伊坂の方向性が変わった挑戦作とも読み取れる。
次の作品がどう出るか、でこの作品の評価は決まる。

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